イギリス料理は本当にまずいの？ディスられる理由や評価が分かれる料理も紹介

世界には多くの料理があり、特に日本では自国の料理である和食以外にも、様々な国の料理や食べます。繊細なフランス料理や色鮮やかなイタリア料理、ダイナミックなアメリカ料理や奥が深い中華料理など多種多様な料理がある中で、イギリス料理だけはなぜかまずいと言われがちです。

イギリス料理は、焼く・茹でるなど、シンプルに調理されたものが多く、薄めの味付けが特徴です。食べる人が自分で味付けをしながら食べるのが一般的で、素材の味が料理の味を左右すると言っても過言ではありません。

そして加熱時間が長いこともイギリス料理の特徴で、肉はしっかり焼き、野菜もよく茹でます。よく食べられている食材はじゃがいもやグリンピースで様々な料理に添えられています。また、牧草地が多く乳製品も豊富にあるため、チーズも多く食べられています。

イギリス料理はまずいなどとよく言われますが、実際にはどうなのでしょうか？ここでは実際にイギリス料理を食べたことがある人の口コミや評判を紹介します。

イギリス料理に関する悪い口コミや評判には、以下のようなものがありました。

• イギリス料理、美味しくなかった
• イギリス料理はじゃがいもばっかりで飽きた
• まずいというより味がない
• イギリス料理は彩りがあまり良くないからなんとなくまずく見える
• 野菜が柔らかすぎるのが嫌だった
• 質素な食事って感じなのはいいけど、味がしない
• イギリスは食べ物とは思えないものもあった

イギリス料理に関する良い口コミや評判には、以下のようなものがありました。

• まずいって聞いてたけど、美味しかった！
• コテージパイ美味しい
• イギリスですごい美味しいフィッシュアンドチップス食べた！
• ローストビーフ美味しかった
• イギリスのパブで食べた料理美味しかった
• 紅茶とスコーン最高だった
• ジャケットポテトと塩ゆでのグリンピース美味しくてびっくりした

イギリス料理について調べてみると、まずいと言われる理由にはいくつかの原因がありました。歴史的な要因やイギリスの文化が大きくかかわっているようです。

イギリス料理は昔からまずかったわけではないようで、ある時代を過ぎてからと言われています。それは、ビクトリア朝の産業革命です。まず、過酷な労働によって母親や子供までもが働き、調理をする時間がなくなったこと、キッチンがない家に住む労働者が増えたことが原因のひとつです。

さらに、都市部の工場で多くの労働者が必要になり、農村で働く人が減ってしまったことも原因でしょう。食材を輸入に頼ったことで、イギリスの食文化が変わっていったと言われています。

また、こういった要因により地域や家庭の食文化を受け継いでいく機会が薄れ、料理をする技術や伝統的なレシピが失われてしまったことも、イギリス料理がまずいと言われる原因になっています。

イギリス人が食への興味が薄い理由は、産業革命以降に手の込んだ料理をすることが無くなったことに加えて、以下のような要因が挙げられます。

• プロテスタントの影響で質素な食事を美徳としたこと
• 島国のため多くの食材が手に入らなかったこと
• 農作物が育ちにくい土地柄

産業革命によって料理をする機会そのものが減り、そもそも質素であった食事と作物が育ちにくい土地柄であったことから、食事や食べ物への興味が薄れていったと考えられています。しかし、現在では他国と同じように、イギリス人であっても食事や料理が好きだと言う人も多くいます。

イギリスで食べる料理は、味付けがされていないか薄味のものが多いです。イギリスではテーブルの上に塩やこしょうなどの調味料が用意されていて、自分好みに味をつけて食べるのが一般的なためです。

これは、スパイスが貴重だった時代に、食べる人が好きなだけスパイスを使えるようにあえて薄味にして、最上級のもてなしをしたところから始まっていると言われています。

そして、イギリスでは使用して良い食品添加物の種類が日本に比べて圧倒的に少ないことや、ダシの文化がないため、何か物足りないと感じることが多いようです。

イギリスは産業革命からの流れによって、家庭で手の込んだ料理をする機会がなくなり、またそのようなレシピや技術も受け継がれてきませんでした。そのため、現在でも手の込んだ料理をするより、ただ焼く、煮る、茹でる、揚げるなどのシンプルな料理が中心です。

それでいてしっかりよく加熱することが習慣になっていますから、肉は硬く、野菜はクタクタになっていることが多くあります。このことからも、食材に手間暇をかけて調理する他国料理と比べると、美味しくないと言われてしまうのでしょう。

日本にも驚くような郷土料理や伝統的な食べ物があるように、イギリスの伝統料理にも評価の分かれる料理がいくつか存在します。イギリスの長い歴史の中で受け継がれてきた料理なので、好きな人は好きだが、苦手な人は苦手と好き嫌いが分かれるようです。

星（Star）を眺める（gaze）という名前の付いたパイは、いわしをパイ生地で包んで焼いたもので、イギリス・コーンウォール州に古くから伝わるパイ料理です。パイに魚が突き刺さったような見た目が特徴的です。

魚の頭が突き出して星空を見上げているようだからスターゲイジー・パイと名付けられたのだとか。見た目とは裏腹に、柔らかな魚の身とサクサクとしたパイの食感が美味しいという意見もありますが、青魚の魚臭さとワタの苦味が美味しくないという人も多いです。

「ハギス」はスコットランドの伝統料理で、ミンチにした羊の内臓と玉ねぎ、麦、牛脂などを羊の胃袋に詰めて蒸したり茹でたりしたものです。本場スコットランドではアツアツにスコッチをかけ、スコッチのおつまみに食べるのだとか。

ハギスは何とも言えない独特な味わいで、牛脂のこってり感とスパイスが効いているため好き嫌いが分かれる料理です。見た目があまり良くないことも敬遠される理由でしょう。

「ブラックプディング」は、豚の血と豚の脂、穀物、ハーブ、香辛料を腸詰にしたものでフル・イングリッシュ・ブレックファストの定番の一品です。厚めにカットして焼いてから食べますが、見た目が真っ黒になるのでそれが苦手という人も。

肉を使っていないのでさっぱりしていながら、レバーの様なコクを感じる不思議な味わいが特徴で、レバーやハツなどが好きな人は美味しく感じる人が多いようです。

日本でウナギは蒲焼きなどにして親しまれていますが、イギリスではぶつ切りにしてゼリー寄せにする「ジェリード・イール」があります。ロンドン東部のイーストエンドの名物として有名で、かつては労働者階級の人々の貴重なタンパク源として食べられていたと言います。

ウナギをぶつ切りにして塩味で煮込みそのまま冷やしたもので、ウナギから出る成分だけでゼリー状に固まります。そのままでも温めても食べられ、塩やこしょう、ビネガーなどを好みでかけます。見た目とウナギ特有の泥臭さから苦手に思う人が多いようです。

まずいと言われがちなイギリス料理ですが、美味しいと言われている料理や食べ物も多くあります。ここでは、特に人気があるものを厳選して紹介します。

イギリスの定番料理として紹介される「フィッシュアンドチップス」は、揚げたタラなどの魚とポテトフライのセットです。かつてはまずいと言われることもありましたが、現在は下味をつけたり、魚の臭みを取るお店も増えているので美味しいと言われることが多くなりました。

モルトビネガーやマヨネーズ、レモン、ケチャップ、ホースラディッシュなど、フィッシュアンドチップスにつけるソースは店舗によって味が異なるので、好みのものを探すのもおすすめ。

ボリュームのあるワンプレートとして人気がある「イングリッシュ・ブレックファースト」は、イギリスやアイルランドの一般的な朝食です。ベーコンやソーセージ、目玉焼き、ベイクドトマトやマッシュルーム、豆類、じゃがいもとトーストがそえられています。

かつての労働階級の人たちが、朝しっかり食べて夕方まで食事をとらなくてもいいようにしたために、これほどのボリュームになったと言われています。イングリッシュ・ブレクファースト・ティーという紅茶と一緒にしっかり食べるのがイギリス流です。

ゆで卵をひき肉で包んで、煮込んだり揚げたりする「スコッチエッグ」は、実はイギリス料理です。イギリスでは軽食として親しまれており、うずらの卵で作られた物がスーパーなどで売られていて、ピクニックのお供にすることもあります。

半分に割ってソースをかけて食べるだけでなく、輪切りにしてサラダにトッピングしたりピクルスなどと一緒に食べるのこともあります。

ティータイムに欠かせない、スコーン（イングリッシュスコーン）は好きな人も多いでしょう。外はさっくり中はふんわりとしていて、ジャムやクロテッドクリームを塗って食べるのが定番です。

サクサク、ホロホロとして食感で、紅茶と一緒に楽しむためあまり水分がないタイプです。ジャムなどをつけて食べるのが定番で生地自体はほんのり甘いだけで、特に味が付いてないことが多いです。

イギリス料理はまずいと言われがちですが、その原因は歴史的な背景や文化の違いによるものが多くありました。伝統的な料理は驚くようなものもありますが、現代では美味しいイギリス料理もたくさんあります。ぜひ、イギリスの食文化を知って様々な料理を楽しんでみるといいでしょう。