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富山や北陸で食べられるおいしい郷土料理「いとこ煮」
いとこ煮は、日本各地に伝わるおいしい郷土料理のひとつです。山形県の庄内地方や、富山を中心とした北陸地方、奈良県や山口県萩市など、日本海側を中心に各地のおいしい郷土料理として受け継がれ、今なお親しまれています。
いとこ煮という名前は共通で使われていますが、各地で作られるいとこ煮は具材や味付けの多くが異なっており、それぞれに個性があります。北陸地方の富山やその周辺地域では宗教との深い関わりもあり、「おいしい料理のひとつ」以上の特別な意味を持っています。
いとこ煮が作られる季節は、多くは冬でだいたい11月から1月です。特に、全国的には冬至かぼちゃをいとこ煮として食べる事が多いでしょう。寒い季節にいとこ煮を食べると、体が温まると同時に、豊富な栄養も摂取できます。
鶏肉と卵を使ったものを親子丼、豚肉と卵では他人丼などと表現する事がありますが、いとこ煮とはどういう意味合いで使われているか、名前の由来なども確認しながら、いとこ煮の魅力、富山での宗教との関わり、家庭で簡単に作れるレシピ等をご紹介します。
いとこ煮ってどんな料理なの?
いとこ煮は、北陸等の一例では小豆・カボチャ・ゴボウ・サツマイモ・大根・豆腐など、煮えにくいものから順番に入れて作る煮物です。具材は地域により全く異なりますが、小豆だけはどの地域でも共通で入れるようです。
山形県庄内地方のいとこ煮は、具は小豆ともち米が一般的です。茹でた小豆をもち米と一緒に鍋で煮たり炊飯器で炊いたりして作ります。富山や他地域のいとこ煮とは全く異なる物で、赤飯やおはぎに近いイメージの郷土料理です。冬の農家のおもてなし料理として出されます。
富山などの北陸のいとこ煮は、根菜を中心とした野菜と、油揚げやこんにゃくなど豊富な具材が入っています。普段から食べる他に、仏事の際に必ず振舞われる特別な意味を持った料理です。
奈良では、小豆とかぼちゃのシンプルないとこ煮が一般的です。全国的にも、冬の寒い季節に冬至かぼちゃを食べるレシピとして奈良のいとこ煮が最も良く知られています。冬に栄養たっぷりのおいしいいとこ煮を食べて温まるのが健康の秘訣といわれます。
山口県のいとこ煮は、他地域とはかなり趣の異なる郷土料理で、白玉だんごやかまぼこ、椎茸等が入っていて見た目はぜんざいに近いでしょう。冠婚葬祭で振舞われる事が多く、会席料理の一品で見られます。
このように、いとこ煮は具材の種類も、味付けも味噌や醤油、砂糖や塩など、各地で方法が異なります。どれもそれぞれにおいしいですが、同じ「いとこ煮」という名前でありながら、イメージされる料理は各地で全く違う物です。
あずきと野菜の煮もの
いとこ煮は各地で具材も味も異なりますが、具材のひとつに小豆は必須です。小豆と何かを合わせた煮物で、多くは根菜類を中心とした野菜です。小豆と野菜や油揚げ・豆腐などさまざまな具材を煮込んで作るその土地で長く作られてきたおいしい煮物と考えれば間違いないでしょう。
ただ、「小豆ともち米だけで作る」山形県庄内地方や、「白玉やかまぼこ入り」の山口県萩市など、一風変わった物もいとこ煮と呼びます。冬至かぼちゃを食べる時に良く見る小豆とかぼちゃの煮物もいとこ煮なので、いとこ煮という料理の意味は非常に幅が広いといえます。
名前の由来は?
いとこ煮という一風変わった名前の由来は、諸説あります。最も有力な説は、小豆や野菜などの材料を煮えにくいものから「追々(おいおい)」入れていく事から「甥甥(おいおい)」に掛けて「いとこ煮」という名称になったというものです。
その他にも由来の説はいくつかあります。山口県の萩地域などでは、具材を別々に煮て最後にひとつの料理になるので「銘々(めいめい)に煮る」から「姪姪(めいめい)」、姪と姪はいとこだからいとこ煮となったという説もあります。
また「婚礼や法事などの冠婚葬祭の席で良く出されるため、普段なかなか会わないとこ達が集まった時に食べる料理だから」「材料である畑の野菜たちがまるで『いとこ』のような関係だから」等という説もあります。
後ほど詳しく説明しますが、親鸞聖人の遺徳を偲んでいただく「遺徳煮(いとくに)」という言葉から変化したのではないかという言い伝えも有り、由来の正解は分かりません。
富山県では親鸞聖人の命日にいとこ煮を食べる
北陸は、浄土真宗の開祖である親鸞聖人(しんらんしょうにん)と縁が深い地域です。親鸞聖人は、北陸路を通る際、いとこ煮を非常に好んで食べたといわれています。この事から、富山県を中心とした北陸地方の浄土真宗の家では、親鸞聖人の命日にはいとこ煮を食べる風習があります。
親鸞聖人は浄土真宗を開いた人物
北陸地方は、歴史的な背景があり、非常に浄土真宗への信仰が深い地域です。他地域に比較すると、浄土真宗を信仰する家庭の割合が非常に高くなっています。
また、学校等でも日常生活に浄土真宗の教えが根付いており、地域全体で宗教教育を大切にしています。そんな北陸の人たちにとって、浄土真宗を開いた親鸞聖人は特別な存在です。
北陸の浄土真宗を信仰している方々にとっては、いとこ煮は開祖である親鸞が好んでいた特別な料理で、今なお神聖な料理として食べ続けられています。
「御満座さん」にも欠かせない料理
「御満座(ごまんざ)」とは、親鸞聖人の命日といわれる旧暦11月28日の事です。浄土真宗では、11月28日の前7日間をお七夜と呼んで報恩講を営みますが、報恩講料理に必ず「いとこ煮」が作られます。
また、命日には御満座さんと言われる信仰法会のお講でも、会食にいとこ煮が振舞われます。親鸞聖人の遺徳を偲んで頂くので「遺徳煮(いとくに)」とも呼ばれ、いとこ煮の名前の由来の一説にもなっています。
報恩講や御満座さん等、親鸞の命日に合わせて行われる集まりは、浄土真宗にとって1年の中で最も大切な仏事です。親鸞が好んだいとこ煮を食べて、自分の信仰心や浄土真宗の教えと改めて向き合うと同時に、寒い季節に体を温めて活力を得る事ができます。
作ってみよう!基本のいとこ煮のレシピ
前述した通り、いとこ煮は日本各地の郷土料理として共通の名前ですが、中身は地域ごとに全く異なる料理です。一口に「いとこ煮のレシピ」といっても、多種多様です。自分の出生地や住んでいる地域のおいしいいとこ煮が作りたい場合は、地元の方から教わるのが一番良いでしょう。
今回は、数あるいとこ煮レシピの中でも、全国的に良く作られる、かぼちゃと小豆を具材に使ったシンプルないとこ煮のレシピをご紹介します。
材料は、「小豆100g」「かぼちゃ1/4個」「だし汁カップ1/2」「うま味調味料小さじ1/4」「砂糖大さじ2」「薄口醤油大さじ1」です。小豆は水で軽く洗い、500ml程度の水と鍋に入れて強火にかけます。
沸騰したら中火にして、10分程度茹でたら湯を捨てます。カップ2の水を入れて再度強火にかけ、沸騰したら弱火にします。約1時間茹でて、柔らかくなったか確かめてからザルに上げます。ゆで汁は取っておきましょう。
かぼちゃは食べやすい大きさに切り、煮崩れしないように角を取ります。鍋に茹でた小豆、かぼちゃ、だし汁、小豆のゆで汁カップ1/2、調味料(うま味調味料・砂糖・薄口醤油)を入れます。落とし蓋をして、中火にかけて15分程度煮ます。煮汁がほとんど無くなっていれば完成です。
もっと手軽に作りたい場合は、市販のゆで小豆を使って作るいとこ煮レシピもあります。ゆで小豆を使う場合の小豆の分量は200gです。
かぼちゃを水から煮て柔らかくなった所に、ゆで小豆と調味料を加えて落し蓋をして10分程度で完成です。ゆで小豆を使えば、30分程度で簡単においしいいとこ煮ができます。
いとこ煮の定義は、小豆と野菜の煮物なので、かぼちゃ以外でも作れます。かぼちゃの代わりに、サツマイモや里芋と一緒に小豆を煮てもおいしいいとこ煮ができるので、そちらのレシピも試してみてください。
いとこ煮は冬至にもおすすめの料理
冬至は、1年のうち最も日が短い日で冷え込む季節です。日本では冬至にかぼちゃを食べる風習がありますが、中でも良く食べられるのはかぼちゃのいとこ煮です。小豆とかぼちゃを柔らかく煮て、ほっこり温かく優しい味のいとこ煮で、寒い冬の季節を乗り越えましょう。
ゆであずき
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