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神戸ってどんな街?
「コンバースの聖地」と呼ばれる柿本商店があるのは、兵庫県の南部に位置する神戸市です。六甲山と海に挟まれた神戸市は、観光・ショッピング・名所がコンパクトにまとまっていて、平日でも多くの観光客でにぎわいます。
観光スポットを大きく分けると、六甲山がある山野地区と海がある地区に分けられます。さらに地区の中にも地域ごとに細かくエリア分けされており、それぞれに観光スポットが密集しているのも神戸の特徴です。
たとえば山野エリアにある六甲山・摩那山エリアは、神戸を代表する夜景スポットで、中でも六甲山の夜景は「1000万ドルの夜景」といわれデートスポットにもなっています。
神戸の中心にあたる三宮・元町エリアには日本三大チャイナタウンの1つ・南京町があります。横浜中華街と比べると総面積は小さいですが、その中にはひしめき合うように数多くの店舗や中華レストランが軒を連ねています。
さらに熱々の点心や絶品スイーツの屋台販売もあるので、神戸を代表する食べ歩きスポットとしても人気です。
三宮・元町エリアには、縁結びのパワースポット・生田神社があります。生田神社には古くから生田の神に仕える「神戸(かんべ)家」がおり、一族の名前が神戸の名前の由来になったともいわれています。
ほかにも神戸には神戸ベイエリア、北野・新神戸エリア、有馬温泉エリア、灘・東灘エリア、北神エリア、神戸西部エリアがあり、どのエリアも魅力的な観光スポットがたくさんあります。
兵庫県にある異国情緒あふれる港町
神戸が日本屈指のショッピングスポットといわれるようになった背景には、兵庫県を代表する神戸港の存在があります。
神戸港の誕生は奈良時代といわれ、当時の朝廷によって整備された大輪田泊(五泊の1つ)が神戸港の原点となったことが記録に残っています。
中世になると神戸港は遣隋使や遣唐使の船が停泊する港として使われるようになり、大規模な修築によって海外貿易の拠点になります。
明治になると、海外貿易船が停泊する神戸は「西洋文化の入口」として発展し、神戸港周辺の地域には西洋式の建物が数多く建てられます。その時の名残が今も神戸に根付いているため、神戸は「異国情緒あふれる港町」と呼ばれます。
さまざまな個人商店が栄えた
大型商業施設も多い神戸は「トレンドファッションの発信地」でもあります。ただしその肩書の原点にあるのは、今も神戸に多く残る個人商店たちです。
古くから海外貿易の拠点として発展してきた神戸では、様々な交通網が整備されています。そのため神戸は、人と物が集まりやすく商売にも適した場所です。
さらに神戸には個人商店が多く、それらが集まって作られた商店街もたくさんあります。ローカルな雰囲気が漂う商店街には、約300件の個人商店が今も軒を連ねています。
もちろんコンバースの聖地である柿本商店も、個人商店が集まる商店街の1画にあります。柿本商店があるのは神戸市中央区にある元町高架通商店街(通称「モトコー」)で、アパレル系・レコードショップ・飲食店が集中しています。
さらに元町高架通商店街のすぐ近くには、観光客も多く訪れる三宮商店街がありますし、駅前には三宮商店街とは別の昭和レトロな商店街もあります。しかも商店街ごとに雰囲気や特徴が違うのが、神戸・商店街の特徴です。
ちなみに個人商店街なのに全国からコンバースファンが集まる柿本商店は、アンダーグラウンド系のショップが集まる商店街の中にあります。
限定品や年代物のレアな商品を扱う専門店が多いため、掘り出し物を探しにやってくる「マニアが多い商店街」として有名です。
そもそもコンバースとは
世界的に有名なシューズメーカー・コンバースは、アメリカマサチューセッツ州でデパートを経営していたマーキス・M・コンバースによって創業されました。
オールスターやクイックスターなど日本でも人気の高いスニーカーを数多く世に送り出してきたコンバースですが、そんなコンバースが最初に作ったのはラバーシューズでした。
オールスターが最初に開発されたのは1917年のことで、バスケットボール用のシューズとして開発されたのが始まりです。
なおバスケットボールは当時のアメリカの最新トレンドスポーツだっため、バスケットブームとともにコンバースの知名度も上がります。
ちなみに現在のコンバースのアンクルパッチには「コンバース」のほかに「チャックタイラー」というサインが入っていますが、これはオールスターの改良や販売にかかわったバスケットボール選手のサインです。
当時のコンバース・オールスターのデザインは、履き心地そのものは最新モデルに劣りますが、完成度とデザイン性の高さから未だに根強い人気がある商品です。
日本でも人気のスニーカーブランド
日本のコンバースは、アメリカのコンバースとは独立した日本企業のアパレルブランドです。ライセンスを取得しているのは伊藤忠商事で、アメリカのコンバースとは資本関係も切れています。
なお海外ではハイテクシューズがメインのコンバースですが、日本ではローテクシューズの方が人気で、主力商品もほとんどがローテクシューズです。
また日本のコンバースはムーンスター久留米工場で作られており、「メイドインジャパン」を売りにした日本のコンバースは海外で人気があります。
現在はナイキの子会社に
様々な人気モデルを誕生させたアメリカのコンバースですが、残念ながら2001年に倒産してしまいました。なお2003年にコンバースは同じアメリカのナイキに買収されたため、現在はナイキの子会社になっています。
年齢を問わず履きやすくバリエーションが豊富
スニーカーの場合はターゲット層がある程度限定されがちなのですが、コンバースは年齢層を問わず人気があるのが特徴です。「レアモデル・コラボモデルがある」というのも人気の1つですが、ターゲット層が広い理由はほかにあります。
1つ目の理由は「お手頃価格」です。人気メーカーのシューズとはいえ、スニーカーはあくまでもカジュアルなシューズなので、価格が高いとどうしても買いにくくなります。
ところがコンバースは、安ければ3000円台で1足買うことも不可能ではありません。シューズ専門店のセールなどを狙えば、欲しかったモデルが定価よりも安く手に入ることもあります。
2つめの理由は「カラーバリエーションの豊富さ」です。スニーカーの定番食といえばホワイトとブラックですが、コンバースの場合はそれ以外にもバリエーションが豊富なので、自分の好きなカラーを選ぶ楽しさがあります。
またモデルによってはレアカラーもあり、コンバースファンにも人気です。シューズは同じモデルでもカラーが違うと印象が大きく変わるだけに、カラーバリエーションが豊富なコンバースは人気が高いのでしょう。
さらに「素材のバリエーション」もコンバースが人気の理由です。コンバースの定番素材はデニムですが、そのほかにもレザーやスエードなどがありいずれも人気があります。
カラー同様素材によっても印象が変わるので、普段のスタイリングから素材を選ぶことができるのもコンバースの魅力です。
このようにコンバースは「お手頃価格」「カラーバリエーションの豊富さ」「素材のバリエーション」の3つが揃っているからこそ、幅広い世代に人気があるのです。
神戸のコンバースの聖地・柿本商店とは
コンバースの聖地・柿本商店は、常時約5000足のコンバースを店頭に並べています。ところがこれだけの在庫を抱える柿本商店の店の広さは、わずか4坪半ほどしかありません。
品ぞろえが豊富な大型のシューズ専門店でも、柿本商店のような商品の展示方法はしていません。なぜなら約5000足ものコンバースが、天井高く積み上げらえているからです。
そんな狭い店内の柿本商店ですが、多い時には1日に300組が「コンバースの聖地巡り」として店を訪れます。しかも北は北海道、南は宮古島からわざわざコンバースの聖地を目指してやってくるというから驚きです。
神戸でコンバースのみを販売する専門店
「コンバースの聖地」の肩書をもつ柿本商店の店内には、隙間もないほど大量のコンバースが並べられています。店内の通路にも商品が山のように積み上げられ、狭い通路にはレア商品を探し求める客で埋まっています。
そんな柿本商店ではレアモデルであってもすべて箱から取り出され、すぐに客が手に取れるようにされています。また箱のスペースをカットすることで、限られたスペースでも常時5000足を収納することができます。
もちろんコンバースの魅力の1つであるカラーバリエーションも豊富で、定番カラーからレアカラーまで取り揃えています。
さらにサイズのバリエーションも豊富なので、サイズを気にせずお気に入りの1足を探すことができるのもコンバース専門店ならではのサービスです。
神戸の柿本商店がコンバースの聖地となったわけ
レア商品を扱う個人商店が多い神戸の中でも「コンバースの専門店」として営業する店は、柿本商店ただ1つです。そのため柿本商店には、神戸や日本国内だけでなく、海外からもレア商品を求めて多くの人が訪れます。
ただし柿本商店が「コンバースの聖地」として現在の地位を築くまでには、知られざる店主の苦悩と試行錯誤がありました。
開店当初はコンバース以外の靴を販売していた
コンバースの聖地・柿本商店が神戸に店を構えたのは、今から50年以上前の1968年です。店主の周春陽さんが店舗に選んだ場所は、神戸駅と元町駅を結ぶ線路の高架下にある「モトコー商店街3番街」でした。
オープン当初の柿本商店は海外ブランドのコンバースがメインの店ではなく、月星化成(ムーンスター)・アサヒシューズ・世界長スニーカーなど日本のシューズメーカーの商品をメインに取り扱っていました。
ただし柿本商店がある神戸は、海外の貿易船が停泊する神戸港がある関係で、買い物客の中にも多くの外国人客が含まれているのが特徴でした。
そんな特殊な環境の中で営業を始めた柿本商店ですが、ニクソンショックの影響で円高ドル安が加速し、状況が一変します。しかもそれは、柿本商店がオープンしてわずか3年後の出来事でした。
チェーン店に対抗するためコンバース専門に
国内メーカーの商品を主に扱っていた柿本商店にとって、オープン3年目に訪れた円高ドル安による影響はかなり厳しいものでした。
円高ドル安によって輸入商品の方が国産商品よりも価格が安いため、柿本商店のメイン商品の売り上げが伸びません。それに対して安い輸入品を大量に販売できる大手チェーン店は、売り上げを伸ばし続けます。
そこで店主は「大手に対抗するには専門店になるしかない」と考え、コンバースの専門店として生まれ変わることを決断します。こうして個人商店の1つに過ぎなかった柿本商店は、コンバースの聖地・柿本商店への道を歩き始めます。
神戸のコンバースの聖地・柿本商店の魅力
個人商店とはいえコンバース専門店として国内外で有名な柿本商店には、世界中のコンバースファンを虜にする魅力がたくさんあります。
約5000足ものコンバースを販売
コンバース専門店と呼ばれる大きな理由には、常時約5000足もの商品が販売されていることが関係します。コンバースはバリエーションの豊富さが魅力のスニーカーですが、大手チェーン店では人気商品しか扱っていません。
もちろん中にはレア商品が含まれることもありますが、サイズのバリエーションが限られていたり、気に入ったカラーが入荷していないこともあります。
これに対してコンバース専門店の柿本商店では、定番・人気モデルだけでなく、レア商品でもサイズのバリエーションが豊富です。そのため客も「柿本商店なら自分のイメージにあった商品が手に入る」という期待感で来店します。
そしてその期待を裏切らない品ぞろえがあるおが、柿本商店の特徴です。このようにコンバース専門店であることがコンバースファンのニーズにマッチし、さらなるファンの拡大につながっています。
レア商品も多く販売
日本でもファンが多いコンバースはバリエーションの豊富さが商品の魅力ですが、定番商品になるほどほかの人と被りやすくなるのが欠点です。しかもこれがレア商品となると「せっかくレアなのに!」と悔しい想いをすることになります。
ところが聖地・柿本商店ではレア商品の品ぞろえも豊富で、国内でも珍しい商品や年代物の商品もあります。
たとえばスケルトンのコンバースなどは、インパクトも抜群ですしインスタ映えする商品です。また柿本商店はコラボ商品の品ぞろえも豊富で、大手チェーン店では決して手に入らないレア商品がたくさんあります。
さらにコンバースファンに人気のジャックパーセルシリーズでは、バリエーションが豊富なだけでなく専用ソールのみの販売も行っています。
さらに店内を探せば、海外限定販売の100周年記念モデルや日本製コンバースのレア商品もあります。お目当ての商品を探すのも魅力の1つですが、掘り出し物のレア商品に出会う楽しさもコンバース専門店・柿本商店ならではの魅力です。
店主が目利きするので偽物の心配がない
海外のレア商品も数多く揃える柿本商店ですが、一般的に海外のレアモデルはコピーが多いといわれます。ところが柿本商店の場合は店主自らが目利きするため、コピー商品はありません。
しかもこの方法は、柿本商店が一般的なシューズショップからコンバース専門店に方向転換した頃から続けており、それこそが「コンバースの聖地」といわれる所以ともいわれています。
海外の貿易船の乗組員を相手に日本製商品を販売するため、店主はそれまでのコネクションを使って税関パスを入手します。これによって柿本商店は神戸を訪れる外国人の乗組員に対して、直接日本製商品を販売することに成功します。
さらに店主は「アメリカのコンバース社が倒産するらしい」という噂を聞きつけると「倒産すればコンバースがもっと売れる」と確信し、自ら現地に行き大量のコンバースを仕入れます。
その後アメリカのコンバース社が倒産すると、店主の読み通りコンバースは人気となり、特に限定商品には高値が付くようになります。ところが国内にはコンバースがほとんど入っておらず、ショップ側も商品の仕入れに困ってしまいます。
すると「神戸にコンバースの専門店があるらしい」という噂が全国のショップオーナー達の間で広まり、仕入れのために次々と柿本商店を訪れます。
柿本商店に並ぶコンバースはどれも店主が自ら目利きしたものですから、レア商品になるほど信頼度が高まります。こうして柿本商店は個人客だけでなくプロからも高く評価され、「神戸の専門店=コンバースの聖地」となったのです。
神戸のコンバースの聖地・柿本商店のアクセス
柿本商店は、「モトコー」と呼ばれる元町高架通商店街の1画にあります。もともとはモトコー3番街にあったのですが、高架下の耐震工事に伴い、現在はモトコー4番街に移転しています。
旧店舗では4坪半しかなかった柿本商店ですが、移転先の店舗はそれよりも広くなったため、嬉しいことに現在では、店頭に並ぶ商品の数が以前より約1000足近く増えています。
しかも旧店舗では倉庫に眠っていた商品も、移転後には店頭で販売されるようになったため、レア商品に出会う確立がさらに高まっています。そこで移転によってパワーアップした聖地・柿本商店へのアクセスを詳しく紹介します。
柿本商店へのアクセスは、電車を利用するのがおすすめです。元町高架通商店街は全部で7ブロックあり、数字が少ない方から駅に近いのが特徴です。
そのため3番街にあった旧店舗より現在の店舗の方が駅から離れていますが、旧店舗と現在の店舗の距離は約65mです。ですから遠くなったとはいえ、それほど大きな違いはありません。
最寄り駅は元町駅と阪急神戸本線の花隅(はなくま)駅で、元町高架通商店街の雰囲気を味わいたい人は元町駅、最短で移動したい人は花隅駅の利用がおすすめです。
なおそれぞれの駅からの所要時間は元町駅の場合が徒歩4分、花隅駅の場合が徒歩1分なので、駅からのアクセスを重視するなら阪急神戸本線を利用しましょう。
車でアクセスする場合は、駅周辺の駐車場を利用するのがおすすめです。店から近いのは花隈駅なので、利用するなら元町駅周辺よりも花隈駅周辺の方がよいでしょう。
なお花隈駅の周辺駐車場でおすすめなのが、神戸市立花隈駐車場です。神戸市立花隈駐車場は、元町駅と花隈駅のちょうど中間に位置しています。また花隈本通沿いにあるため、入庫しやすい駐車場です。
駐車場から柿本商店までは徒歩2分なので、移動にもそれほど時間はかかりません。また収容台数も258台と多いので、休日でも比較的空きがあります。
料金は15分100円ですが、最大料金の設定があり、1日1020円で利用できます。ただし入庫時間は7時~24時となっているため、時間外での車の出し入れはできません。
柿本商店のある神戸元町高架下商店街はディープな下町
コンバースの専門店を50年以上続けている柿本商店も十分マニアックな店ですが、柿本商店がある元町高架通商店街には、コンバースの聖地に負けないディープな店がたくさんあります。
1番街から7番街まである元町高架通商店街ですが、数が多くなるほどシャッターが閉まっている割合が高くなります。その影響もあってか、シャッター街に近うなるほどマニアックな店が多いです。
柿本商店がある4番街は営業している店が比較的多いですし、柿本商店自体が平日でも多くの買い物客でにぎわっているので、女性1人でも安心して歩けます。
昭和の闇市を彷彿させるレトロな商店街では、それぞれの店が自己主張するかのように商品を通路に大きくはみ出して展示しています。
店のジャンルもほとんど統一性がなく、謎の激安商品ばかりを集めた店の隣に不動産屋があったり、高級ブランドを扱う店の隣に懐かしのテレビゲームソフト専門店があったりします。
ちなみに元町駅から離れていくほどマニアックな商品を扱う店が増えていくので、レトロでディープな下町の風景を見たければ、できるだけ西側にある商店街を歩くのがおすすめです。
神戸のコンバースの聖地でお気に入りの一足と出会おう
神戸の柿本商店は、独自路線の追求と店主自らが揃えた信頼できる商品で「聖地」と呼ばれるようになった伝説の個人商店です。
しかも移転によって以前より広くなった新店舗には、これまで倉庫に眠っていたお宝も続々登場しています。さらにパワーアップしたコンバースの聖地で、あなたも掘り出し物を見つけてみませんか?