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イギリストーストはどんなパンなの?
イギリストーストは、2枚の食パンでシュガーマーガリンをサンドした菓子パンです。至ってシンプルですが青森県民にとっては愛すべき特別なソウルフードで、50年以上ものロングセラーを誇ります。そこで、イギリストーストが誕生した由来やイギリストーストを購入する方法をご紹介しましょう。
1967年頃に青森にある「工藤パン」が販売し始めた
イギリストーストは1967年頃、青森市に本社を置く「工藤パン」が販売を始めました。工藤パンは1932年創業の老舗製パン業者で、県内ではあの「ヤマザキ」よりも知名度が高いとされています。
創業当時は米軍へ商品を卸していて、現在のように数多くの種類のパンもなければカラフルでおしゃれなパッケージもありませんでした。
そこで初代は「米軍の食文化に合ったものを作りたい」と考えた末、食パンを使った新商品「イギリストースト」を誕生させたと推察されています。
イギリストーストが誕生した由来は、現在の青森県むつ市大湊地区にあります。大湊地区では山型食パンにバターを塗り、砂糖をかけて食べる習慣がありました。初代は現地の食べ方を参考に、山型食パンとマーガリン・グラニュー糖を組み合わせて何度も試作を行ったのです。
イギリストーストは誕生してから約8年間、食パン1枚にシュガーマーガリンをかけるというスタイルでした。そして1976年、包装紙にベタベタ張り付いてしまう問題を解決するために、カットした2枚のパンでシュガーマーガリンを挟む現在の形が完成したのです。
ただしパンの厚さは当初から変えず、1枚だったパンを2枚にカットして提供しています。同時に商品の特徴を出すために、無地包装だったパッケージにイギリスの国旗をイメージしたデザインをプリントして販売するようになりました。
ところが1つ問題があり、工藤パンは販売後もイギリス大使館に申請すら出していなかったのです。
お客さんからも心配されて慌てて大使館へ連絡したところ、「すでにイギリストーストのパッケージは世間に浸透し、有名になっているので継続して使っても大丈夫」と承諾を得られ、ロングセラーへの道をたどることになります。
その後何度もリニューアルを重ねてきましたが、赤と青のイメージカラーとユニオンジャックは現在でも変わっていません。
そして2011年、人気テレビ番組「秘密のケンミンSHOW」で紹介されたことをきっかけに、全国的に注目を浴びるようになりました。
イギリストーストが購入できるのは東北の一部のみ
イギリストーストは工藤パンのロングセラーだけに、青森県内なら基本的にどのスーパー、コンビニ、百貨店へ行っても購入できます。
加えて岩手、宮城、秋田、山形、福島ではローソン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキで販売されていますが、一部店舗では取り扱っていない場合もあるので何軒か回ってみるといいでしょう。
そして何と嬉しいことに、イギリストーストは東京のアンテナショップ2軒でも取り扱われています。千代田区の「あおもり北彩館」と、赤坂の「AoMoLink」です。
あおもり北彩館では毎週金曜日を「イギリストーストday」に設定していて、専門の売り場が登場しています。さらに「東北アンテナショップフェア」として、神奈川の西武・東戸塚店や埼玉のそごう川口店といった場所で出張販売を積極的に行っているので、チェックしてみるといいでしょう。
一方AoMoLinkでは、毎月9日と10日に数量限定で扱っています。またイギリストーストは賞味期限が製造後3日と短いため、基本的にお取り寄せや通信販売には対応していません。
ただし青森県の観光物産館であるアスパムの直営店「地場セレクト」では、期間限定でイギリストーストのお取り寄せ企画を実施しています。
全国からの注文受付は毎年12月と2月のみで、賞味期限の問題をクリアするために工場から直接配達するイギリストーストは、圧倒的にふわっふわでやわらかくフレッシュです。
またYahooショッピングの「カブセンターYahoo!店」でも取り扱いがあるので、東北や該当のアンテナショップへ行けない方におすすめです。
カブセンターYahoo!店では当日製造のイギリストーストを1個108円(税込)で販売していますが、送料が別途かかること、また決済完了後のキャンセルは不可の2点に注意しましょう。
イギリストーストの人気は留まることを知らず、東北6県以外でもゲットできるチャンスはありますから、ぜひ味わってみてください!
年間出荷量500万個の超ロングセラー商品
イギリストーストは1日に1万5000個も製造しているので、1年間毎日製造ラインが稼働した場合、年間出荷量は「約540万個」の超ロングセラーです。売り上げの9割ほどは青森県が占めているので、県内では月間40万個以上売れていることになります。
青森では「月間5万個売れるとヒット商品」と言われていますから、それだけ県民のイギリストースト愛が深いのでしょう。
発売当初は青森市をメインに、県内の中学校や高校の売店でも販売していたため学生発信で人気が徐々に高まりました。そして評判はあっという間に広がり、スーパーで山積みになったイギリストーストを、地元民が1度に大量買いする光景が当たり前になったのです。
イギリストースト・美味しい食べ方
イギリストーストはパン自体が非常にふわふわしていて、さらに特性のシュガーマーガリンとのバランスや食感のアクセントが絶妙なロングセラーですから、そのまま食べても絶品です。
ただし食べ方を少し工夫するだけで、また違った美味しさを味わうこともできます。そこで、イギリストーストの美味しい食べ方2選をご紹介しましょう。
軽くトーストする
イギリストーストの美味しい食べ方1つ目は、軽くトーストすることです。パンを開いて2枚にし、2分ほど焼きましょう。すると表面はシュガーが溶けてカリカリに、耳はサクサクと香ばしくなり、1口かじると中からマーガリンがジュワッと染み出します。
トーストするだけで、サクサクとジューシーの絶品ハーモニーを堪能できるでしょう。さらにカリカリ食感を楽しみたい方は、1度冷凍してからトーストする食べ方がおすすめです。まるで極上ラスクのようにカリカリ、サクサクで、しっかり染み込んだマーガリンがたまりません。
逆にサクサクよりもふんわり食感が好きな場合は、レンジで温めるという食べ方もあります。マーガリンとシュガーが見事に溶け合い、パンはこれ以上ないくらいにふわっふわに仕上がるでしょう。
半分にして真ん中から食べる
イギリストーストの美味しい食べ方2つ目は、パンを開いて1枚を半分折りにし、真ん中からガブッと食べる方法です。最も濃厚なシュガーマーガリンの甘さとジャリジャリ感、そしてパンのふんわり感が一体化する贅沢な食べ方と言えるでしょう。
イギリストースト・名前の由来
イギリストーストの名前の由来は、明らかにはなっていません。本当の由来は初代にしか知り得ないことですが、山型食パンの呼び名に由来しているというのが最も有力な説とされています。
食パンは出来上がった時の形により、正方形の「角食パン」と、頭の部分が山のように膨らんだ「山型食パン」の2種類に分類されます。山型食パンは「イギリスブレッド」とも呼ぶことが由来し、「イギリス」というネーミングに至りました。
「トースト」はというと、「そのまま食べても焼いて食べても美味しい」という食べ方の意味合いに由来しているようです。ただ実際に焼いているわけではないため、誤解を与えないようにネーミングを「イギリスサンド」に変更する案もありました。
ところが「イギリストースト」が広く周知されてしまったことから、由来通りのネーミングを使い続けているのです。
イギリストーストの魅力
イギリストーストは由来の通り、食べ方を変えても違った美味しさを楽しめるパンですが、50年以上ものロングセラーを誇る理由は2つの大きな魅力にありました。1つ目は誰にも真似できないオリジナルの味、2つ目は変わらない安心感です。では、1つずつご紹介しましょう。
工藤パンしかイギリストーストは作れない
イギリストーストの魅力は何と言っても、工藤パンにしか作れないことです。見た目はとてもシンプルなので家庭でも簡単に作れそうですが、決して誰にも真似できません。
パンの厚さやしっとり感、特性マーガリン、マーガリンとグラニュー糖の配合といった1つ1つがイギリストースト専用にこだわって製造されているためです。
パンの厚さは一般的な食パンの8枚切りと10枚切りの中間ほどで、3つの山がある三斤棒(さんぎんぼう)と呼ばれるパンを26枚にカットしています。幅広い年齢層の職員に何度も試食してもらい、意見を集めて女性でも食べやすい厚さにたどり着いたのです。
パンの生地には自家製ルヴァン種を使用することで、ふんわり感としっとり食感をアップさせました。自家製ルヴァン種とは5日間かけてじっくり熟成させた自然発酵種を指し、ワンランク上の美味しさに欠かせない、豊かな香りや深みのある味わい引き出す効果があります。
さらにイギリストーストのしっとり感は、製造ラインにも秘密があります。パンは通常、カットされた瞬間から水分が蒸発してしまうため、イギリストーストの製造ラインを通常よりも短い「10m」に設計しました。
その結果、大手メーカーでは焼き上がりから半日または1日経って商品になっているところ、イギリストーストは2時間半での商品完成に成功し、他社にはない極上のしっとり感を実現したのです。
マーガリンは口へ入れた時の絶妙な溶け具合とグラニュー糖のザラザラ感がマッチするように開発され、イギリストーストだけのために作られた特注品です。またマーガリンとグラニュー糖の量は、パンの厚さとのバランスも考えて計算されています。
イギリストーストは全ての材料や製法において徹底的にこだわって研究し、数え切れないほどの努力を重ねてきた集大成なので再現が非常に困難です。それでいていつでもどこでも手軽に購入できるところに多くの県民が魅了され、ロングセラーの地位を確立してきたのでしょう。
当初から製法は同じ
イギリストーストの魅力は、発売当初から変わらない製法にもあります。パンの厚さ、マーガリンとグラニュー糖の分量、製造ラインといった基本的な工程を50年以上守り続けてきたからこそ、多くのファンは安心してイギリストーストを食べられるのです。
スーパーやコンビニでパンを選ぶ際には、一般的に外観やパッケージを確認してから購入するかどうかを決めるものです。
一方イギリストーストの場合は昔から食べ慣れていて味も食感も十分にわかっていますから、パッケージを眺める必要もなくカゴにすんなり入れてしまいます。
大部分の地元民は、自分が想像していた通りの「やっぱりこの味だ」という安心感を求めているため、いつの時代も変わらない味に惹かれるのです。
親が美味しいと食べるイギリストーストは子供も何の抵抗もなく食べるようになり、世代を超えて受け継がれ、ロングセラーが築かれていくことになります。
イギリストーストの種類は豊富!
イギリストーストは超ロングセラーのベーシックタイプ以外にも、実にバラエティ豊かな種類が続々と登場しています。そこで、イギリストーストの新製品や歴代のユニークな種類、またファンの心をくすぐるコラボ商品をご紹介しましょう。
毎月新製品が登場する
イギリストーストは毎月新製品が登場していて、ロングセラーのベーシックタイプを含め、店頭には常時5~6種類の商品が並んでいます。
以前は2~3ヶ月に1種類の頻度で新商品を発売していましたが、次第に地元民からの要望や毎月楽しみにしているというファンの声が増え、1ヶ月に1度のペースで新しい味を生み出すようになりました。
ただし新製品を発売するという道のりは、決して簡単なものではありません。より多くの人から「美味しい」と言ってもらえる味を追求するために、お客さんや新入社員の新鮮な声を集めたり、女性社員の意見を参考にしたりしながら何度も試作を重ねています。
また工藤パンは青森に根付いた会社ですから、地産地消にもこだわっています。地元の顔がわかる農家の方から食材を仕入れ、工藤パンが加工したイギリストーストを最終的に県民に食べてもらうことで、地元をもっと元気にしたいと願っているのです。
そのため工藤パンは、地元産の食材を使った新商品をどんどん開発していくことにも力を入れています。
イギリストーストは歴代200種類ほど
焼いても美味しい山型食パンの由来から誕生したイギリストーストは、2007年3月に初の新商品となる「とろ~りチョコクリーム」が、続いて同年9月に「ジャム&マーガリン」が発売されました。その後次々に新しい顔が増え、歴代のイギリストーストは200種類ほどまでに昇っています。
例えば県内産の食材を使った「青森県産スチューベンホイップ」「青森県産カシスジャム&オレンジマーマレード」や、パン3枚を贅沢に使った「粒入りピーナッツ&マーガリン」、そしてテレビやネットでも話題になった「イギリスフレンチトースト(ピザ風)」です。
「イギリスフレンチトースト(ピザ風)」のパッケージにはイギリスの国旗、フレンチの文字、イタリアが本場のピザの写真がデザインされ、完成後のパッケージ全体はブルガリア国旗カラーでまとまっています。さらに製造は日本ですから「多国籍すぎる!」と大きな反響を受けました。
実はフレンチトーストの発祥はフランスではなくアメリカと言われていますが、いずれにしても5ヶ国が融合したユニークな商品と言えます。
ピザソース&チーズ風味のフィリングをサンドしてフレンチ液に浸し、焼き上げたことに由来する「イギリスフレンチトースト(ピザ風)」は多数の要望により、1年後に再販を果たしました。
これほど豊富な種類を生み出しているイギリストーストですから、ロングセラーのオーソドックスなタイプには変わらない美味しさを求めながら、今月はどのような種類が登場するのかドキドキ、ワクワクしながらパンコーナーへ向かうのも楽しみの1つと言えるでしょう。
コラボ商品も
イギリストーストには、コラボ商品も数多く存在しています。2014年7月はハローキティとのコラボで、パッケージはりんごを持ったキティちゃんです。デザイナーがりんご好きなことから誕生40周年を記念し、「青森県産りんごジャム&いちごジャム」を発売しました。
2014年10月は地元のラジオ番組とのコラボで、ラジオリスナーのメッセージから生まれた「青森県産ホタテマヨ」です。イギリストーストの中には甘くない種類もたくさんあり、ホタテマヨは酒の肴になることでも注目されました。
2015年8月は人気アニメ「ラブライブ!」とのコラボで、通常の2倍の数量が売れた「青森県産りんごジャム(はちみつ入り)&カスタードクリーム」です。パッケージは9人のアイドルがりんごを持ったオリジナルイラストとあって、ファンを夢中にさせました。
2017年7月は青森夏祭りとのコラボで、「青森県産カシスジャム&ヨーグルト風クリーム」です。カシスは血流改善や筋肉疲労軽減といった効果が期待できる果実で、青森市は国内の生産量日本一を誇ります。ねぶたの写真をパッケージに印刷することで、夏祭りの雰囲気を一層盛り上げました。
2019年7月は人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボで、「ジャリ・チョコ暴走モード」です。中には大きさの違うザラメ2種類とマーガリンをサンドし、表面にはカラーチョコスプレーをたっぷりトッピングしています。
2018年2月に、通常のジャリ感を50%以上アップさせて歯ごたえを出したスペシャルイギリストースト「もっとジャリまし」が発売されましたが、「ジャリ・チョコ暴走モード」は「もっとジャリまし」の3倍のザラメが入っている衝撃的な新商品です。
イギリストースト史上最高のジャリジャリ感がエヴァ初号機の暴走モードのイメージにぴったりで、主人公「碇(いかり)シンジ」の身に危機が迫る非常事態のシーンを再現しました。
イギリストーストシリーズにも注目!
イギリストーストには多くの姉妹シリーズも登場していて人気を集めています。そこで、姉妹シリーズの中でも特に注目したい「イギリスブレッド」と「メロンパンサンド(イギリストースト風)」の2点をご紹介しましょう。
イギリスブレッドはイギリストーストの主役で、全4種類が存在しています。中でも大人気なのが、ロングセラーのイギリストーストに使われている専用山型食パンと全く同じ商品「イギリスブレッド(6枚)」です。きめ細かいふんわり食感をシンプルに楽しんでください。
他の3種類は青森県産米の青天の霹靂(へきれき)米粉を使った「もち食感イギリスブレッド(6枚)」、ソフトな食感で食物繊維が豊富な「全粒粉入りイギリスブレッド(6枚)」、自家製ルヴァン種使用で耳までしっとやわらかい「白いイギリスブレッド(6枚)」です。
4種類それぞれに違った美味しさがありますが、トーストするのがもったいないほどとにかくふわっふわな点は全てに共通しています。
実際にトーストすると、気泡が大きい分サクッと焼けてほのかな甘みが口いっぱいに広がるでしょう。由来通り、そのまま食べてもトーストしても絶品なので色々な食べ方を楽しんでみてください。
「メロンパンサンド(イギリストースト風)」は、ルヴァン種を使ったふんわり食感の生地でイギリストースト専用のシュガーマーガリンをサンドし、クッキー生地を乗せています。
メロンパンとイギリストーストが見事に融合した新たな食べ方ですから、メロンパンファンには見逃せないシリーズです。
青森で人気のご当地パン・イギリストーストは魅力的!
イギリストーストは発売当初から変わらない美味しさを守り続けるロングセラーで、青森の大人気ご当地パンです。
シンプルですが使用する材料や製法に徹底的にこだわっているからこそ、由来通り「そのままでもトーストしても美味しいパン」を実現しています。色々な食べ方や新商品にも注目しながら、ぜひイギリストーストの魅力を存分に堪能してみましょう。