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キャラウェイとは?
西アジアでは古くから使われているスパイス・キャラウェイは、正式名称を「ヒメウイキョウ」といいます。原産地である西アジアでは常備している家庭が多い定番のスパイスで、いろいろな使い方ができる万能調味料です。
植物分類上ではセリ科植物に区分されるキャラウェイの可食部は、葉だけでなく花やタネ、根が含まれます。使い方もさまざまで、主な使い方としては料理のスパイスがありますが、キャラウェイに含まれる成分は精油としても使えるので、アロマオイルにする使い方も人気です。
そんなキャラウェイは、古代人の間でも広く使われていました。世界各国の発掘調査によると、古代エジプトの墓や石器時代の遺跡からもキャラウェイが発見されています。
さらに古代シルクロードの遺跡からもキャラウェイが見つかっているので、原産地からシルクロードを通って世界各国に広まっていったということでしょう。そんなキャラウェイは、ドイツの伝統料理・ザワークラウトに欠かせないスパイスです。
キャベツを使ったザワークラウトは肉料理のつけあわせとしても人気で、地域や家庭によって作り方が違う点も広く庶民に愛されていることを裏付けています。
さわやかな香りをもつスパイス
キャラウェイは香辛料に分類されますが、コショウや唐辛子のように刺激が強いスパイスとは違います。どちらかというと北欧料理の定番ハーブ・ディルのように、香りを楽しむスパイスとしての使い方が主流です。
キャラウェイもディルと同じくセリ科植物に分類されるので、セリ特有の爽やかな香りがキャラウェイの魅力といえます。そのため肉料理にキャラウェイを使うこともありますし、こってりとしたチーズ料理にもキャラウェイは愛称が良いです。
さらに可食部によっておすすめのレシピが違うのも、キャラウェイの特徴といえるでしょう。ドイツ料理のザワークラウトや北欧料理のピクルスにはキャラウェイのタネが使われていますが、スープのような煮込み料理やサラダにはキャラウェイの葉を使うのが定番です。
さらに臭い消しのハーブとしての使い方もあります。食材の臭い消しにも役立ちますが、肉料理に欠かせないニンニクの臭み消しにもキャラウェイはおすすめです。
キャラウェイとニンニクを一緒に調理してもニンニク臭の除去にはなりませんが、ニンニク料理を食べた後にキャラウェイを噛むことでにおいを消すことができます。そのためキャラウェイをよく使う地域では、肉料理と一緒にキャラウェイが出されることが多いです。
ニンニクといえば強烈なにおいがする食材ですが、キャラウェイを食べるだけで強烈なニンニク臭が抑えられるのですから、ニンニク好きの人には欠かせないスパイスといえるでしょう。
なおカレーに欠かせないクミンと見た目がそっくりなキャラウェイは、香りや刺激もクミンに似ています。そのためカレーレシピによっては、クミンの代わりにキャラウェイを使うことで深みのある香りを再現することもあります。
キャラウェイの基本情報
可食部によっていろいろな使い方ができるキャラウェイですが、可食部によって香りの特徴も違います。そのためキャラウェイのどの部分を使うかによって、おすすめの使い方が違うのもキャラウェイの特徴です。
セリ科の乾燥させた種子
スパイスとして使われるキャラウェイは、キャラウェイのタネ(種子)です。キャラウェイのタネは花が咲かないとできませんが、花は植え付けから2年たったキャラウェイでなければ咲きません。そのためスパイスの中でもキャラウェイの種子は貴重です。
そんなキャラウェイのタネですが、収穫するタイミングも重要になります。2年草に分類されるキャラウェイなので、花が咲いたときがタネの収穫時期です。ただしタネができてすぐに収穫しても、スパイスで人気のキャラウェイのタネにはなりません。
ポイントは「褐色に変色するまで待つ」ということです。キャラウェイ特有の香りがするのは、熟したキャラウェイのタネだけです。
そのためタネができても熟すまでそのままの状態にし、収穫に適した色になった時点でキャラウェイのタネを収穫します。なおキャラウェイのタネを収穫する際は、タネだけを取り出すのではなく、キャラウェイの茎ごと収穫するのがポイントです。
キャラウェイを収穫した後にも作業があります。茎ごと収穫するキャラウェイのタネは、10日ほどは茎についたままの状態で保管します。これはキャラウェイのタネを完熟させるための作業で、この作業がなければスパイスとしてのキャラウェイは作れません。
時間をかけて完熟させたらタネだけを取り出し、本格的な乾燥作業に入ります。こうして時間をかけて熟成・乾燥させたキャラウェイのタネだからこそ、さまざまな使い方ができる万能スパイスになるのです。
ちなみにキャラウェイはセリ科植物の一種ですから、時間をかけて乾燥させたキャラウェイのタネからは爽やかな香りがします。
ザワークラウトやキュンメルに使われる
日本ではまだあまり知名度が高くないスパイス・キャラウェイですが、ドイツ伝統の料理・ザワークラウトには欠かすことができないスパイスです。
ザワークラウトは「酢キャベツ」と訳されることもあるドイツ料理ですが、酢の酸味で味付けしたキャベツ料理ではなく、乳酸菌による酸味が特徴のキャベツ料理になります。そのため酸味はありますが、酢の酸味ではありません。
そんなザワークラウトでは大量のキャベツに塩とスパイスを加え常温保存することで、乳酸菌が発生し発酵します。そのため塩と一緒に加えるスパイスが、ザワークラウトの味を決めるといっても過言ではありません。
そんなザワークラウトによく使われるのが、「キャラウェイシード」と呼ばれるキャラウェイのタネです。完熟したものを乾燥させて作るキャラウェイシードなので、香りだけでなくプチプチした食感も加わります。
ドイツやオランダなどヨーロッパ諸国でよく使われているキュンメル作りにも、キャラウェイのタネが欠かせません。キュンメルはハーブリキュールのことで、キャラウェイのタネと一緒にクミンやアニスなどのスパイスを加え、レモンピールで香りをつけて作ります。
キュンメルはカクテルにする使い方がおすすめです。キュンメルが人気の地域ではさまざな種類のカクテルがあり、カクテルの作り方によっていろいろな味のカクテルが楽しめます。
キャラウェイとクミンの違い
日本ではまだあまり知られていないキャラウェイですが、カレーのスパイスとして認知度が高いクミンとよく似ています。クミンはカレーのスパイスの定番で、市販されているクミンはパウダー状のものが多いです。
そんなクミンですが、スパイス用キャラウェイと同じくタネの状態で販売されることもあります。どちらもセリ科植物に分類される植物ですし、タネの状態だと見た目もそっくりです。そんなキャラウェイとクミンですが、香りに注目すると違いがわかります。
キャラウェイは爽やかな香りだけでなく甘い香りもあるので、カレーのスパイスとして使うこともありますが、どちらかというと肉料理やチーズ料理、ケーキ作りなどに主に使われるスパイスです。
これに対してクミンは刺激が魅力のカレーに欠かせないスパイスの1種で、セリ特有の香りのほかに香ばしさがあります。クミンシード(タネ状のクミン)は熱した油に入れて炒めることで、香りが出てきます。
炒め物にクミンシードを使うこともありますが、これもクミンシードを加熱したときに出てくる香ばしさを活かしたクミンならではの調理法です。
キャラウェイのおすすめの使い方
爽やかさと甘みを併せ持ったスパイス・キャラウェイは、日本で気軽に手に入る食材にも使うことができます。特にチーズや肉との相性が良いので、チーズや肉とキャラウェイを組み合わせるのがおすすめです。
キャラウェイのチーズトースト
プチプチした食感と香りが同時に楽しめるキャラウェイシード(キャラウェイのタネ)は、原産地でもチーズ料理に使われます。そんなキャラウェイのチーズ料理に挑戦するなら、とろけるチーズとフランスパンを使ったチーズトーストがおすすめです。
フランスパンの代わりに食パンを使っても良いですが、その場合は一口サイズにカットしたものを使いましょう。作り方はとても簡単です。薄めにカットしたフランスパン(食パンの場合は8枚切り)の上に、とろけるチーズをのせます。
そしてチーズの上に少量のキャラウェイシードをふりかけてトースターで焼くだけで、絶品チーズトーストの完成です。
鶏肉のアピシウス風
アピシウスとは、ローマ地方で古くから食べられている肉料理です。さまざまなスパイスやハーブを使うグリル料理のことで、キャラウェイを加えると味に深みが出ます。
どんな肉でもアピシウス風グリル料理に出来ますが、クセの少ない鶏肉のほうが日本人には食べやすいです。下味をつけるスパイスはお好みで構いません。ニンニクやクミン、ブラックペッパーなどを組み合わせてお好みの味付けをします。
スパイスにはちみつと赤ワインを少々加えてしっかりと鶏肉に揉みこみ、冷蔵庫で30分漬け込んでください。下味がついたら、キャラウェイシード、オレガノ、コリアンダーシードを全体にまぶします。
すでに下味がしっかりついているので、表面にまぶすスパイスは控えめにしましょう。まぶし終わったら200℃に温めておいたオーブンで約20分焼いてください。焼き上がった鶏肉は約3分寝かせてから、食べやすい大きさにカットすれば完成です。
キャラウェイを使った料理に挑戦してみよう!
クミンに見た目がそっくりなキャラウェイは、主に肉やチーズ料理に使われるスパイスです。そんなキャラウェイにはほんのりと甘い香りもあるので、スイーツの隠し味としての使い方もできます。
まだ日本では珍しいスパイスですが、お家時間の新しい楽しみ方としてキャラウェイ料理に挑戦してみませんか?