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奈良の歴史は鹿なしには語れない!
「奈良公園」にいる鹿たちは、奈良の歴史を語る上で欠かすことの出来ない存在です。日本に現存しているもっとも古い和歌集である「万葉集」にも、奈良公園の一帯にいる野生の鹿たちを詠んだ句が複数あります。
万葉集が編纂された年代は、およそ1200年前だと言われています。つまり、その頃から既に、奈良公園の周辺には、鹿がいたということです。
また、奈良公園にある春日大社では、奈良公園にいる鹿たちを神の使いであるとし「神鹿(しんろく)」と呼んで、昔から丁重に保護しています。
奈良の鹿は天然記念物にも指定されている
奈良公園の鹿は、1957年に天然記念物に登録されました。春日大社が所有者として、国に天然記念物の申請を出しました。さらに、当時の奈良市長や、奈良市観光協会の会長の助力もあり、奈良の鹿は国の天然記念物になったのです。
奈良公園には古くから野生の鹿が暮らしている
万葉集の書かれた時代から、奈良公園の周辺には鹿が住んでいました。奈良公園の鹿たちは、動物園の動物のように、飼育員から餌をもらって生活しているわけではありません。今も昔も、奈良公園の鹿は、野生の鹿なのです。
現在その数約1200頭!
戦時中や戦後復興の混乱の中で、奈良公園の鹿は、その数を大幅に減らしました。奈良公園にいる鹿たちの生息数調査が開始された1955年には、378頭しかいませんでした。
しかし、国の天然記念物に指定されたことや、鹿の保護活動を通して、だんだんと数が増え、2017年には1226頭にまでなったのです。そして今年度2019年は、奈良公園に生息している鹿の数が1388頭になりました。
奈良では鹿の暮らしをサポートする団体も活動中
奈良公園の鹿を保護する活動も活発に行われています。「一般財団法人 奈良の鹿愛護会」では、出産を控えたメス鹿の一時保護や、怪我や病気の鹿を保護を行っています。その他にも、鹿を守るための啓発活動にも力をいれており、様々な活動を通して鹿を保護しているのです。
一般財団法人 奈良の鹿愛護会と共に「鹿サポーターズクラブ」も精力的に活動を行っています。鹿サポーターズクラブはボランティアで運営されており、奈良公園内のパトロールや、清掃活動など様々な鹿の保護活動に従事しています。
住所 | 奈良県奈良市春日野町160 |
電話番号 | 0742-22-2388 |
奈良の鹿の1年を知ろう
鹿の一年間の生活の中で、性別に関係なく同じように起こる変化は、季節によって夏毛や冬毛が生え変わることです。これは、犬や猫などと同じです。
オスとメス特有の習性や生態を見てみると、鹿の角は、オスだけにしか生えません。一年ごとに生え変わり、放っておけば3月ごろに自然に角が落ちます。
ほとんどのメスの持っている習性は、メス同士の群を作り、群の中で子供を育てることです。メスの子供はそのまま群に残ることが多いようですが、オスの子供は、数年すると自然と群から離れ独り立ちするようです。
奈良公園では、毎年10月に春日大社の境内にある「鹿苑角きり場」で「鹿の角きり」という伝統行事が行われます。
鹿の角は、完成すると非常に鋭くなり、殺傷能力があがります。さらに、10月頃から繁殖期に入り、オスの鹿は他のオスの鹿と縄張り争いをします。非常に気が立っており、人を襲うことも考えられます。そういった事故を防ぐ為に、鹿の角切りは行われているのです。
また、この行事の歴史は古く、江戸時代から現在まで300年以上続いています。そもそも、この鹿の角切りは、町人が鹿の角で攻撃されるなどの被害が相次ぎ、鹿の角を切り落とすことにしたのが始まりです。
メス鹿は6月に出産のピークを迎える
メスの鹿は、9月から11月に掛けて交尾期を迎えます。妊娠期間は220日前後です。その後、冬を越えて、5月から7月に掛けて、出産シーズンを迎えます。特に6月中ごろは出産のピークです。
出産時期は荒っぽくなるので注意
出産を終えた母鹿は、生まれた子供を守るために、とても気が立っています。生まれたばかりの子鹿がかわいいからといって、むやみに近づけば母鹿に攻撃される恐れがあるので気をつけましょう。
オス鹿は角にも周期がある
オス鹿の角は、一生に一度の物ではありません。実は毎年、生え変わっています。春先になると、古くなった角が落ちて、新たに角を伸ばすのです。
春ごろに生え始めた角のことを、袋角(ふくろづの)といいます。短い角の表面は柔らかい皮膚に包まれていて、さらに短い毛も生えています。この短い角の中には、栄養を送るための血管が通っていて、体と同じように温かくなっています。
8月ごろになると、短かった角は、ぐんと伸びて、柔らかい皮や血管はなくなります。硬く立派に伸びた角に変化していくのです。その後、9月には、硬く鋭い完全な角になります。
オスは秋に発情期に入るのでなるべく近づかない
オスの鹿は、基本的には単独行動を好むようです。ですが、若いオスの鹿は、時にはオス同士で群れを作ります。オス同士の群は、発情期には解散し、それぞれがメスの鹿を囲い込み、縄張りを主張しだします。そして、一夫多妻のハーレムを築くのです。
発情期のメスの鹿を囲い込んで、他のオスからガードしておかないと、他のオスに取られてしまうのです。メスの鹿は、一頭のオスと交尾したからといって、他のオスを避けるようになるということはなく、他のオスの求愛行動にも答えてしまうという特性に一因があるようです。
奈良公園で鹿に餌やりするときの注意点
近年、かわいい鹿の姿をひと目見ようと、奈良公園を訪れる観光客が増加しています。奈良公園では鹿せんべいを買いさえすれば、観光客の誰もが直接、鹿に餌やりできるというのも魅力なのでしょう。
ところが、観光客の増加に伴い、観光客による餌やりのマナーの悪さが、問題になっているというニュースを耳にするようになりました。鹿の目の前に鹿せんべいをチラつかせて、鹿たちが群がる様子を見て楽しむといった悪質なことをする観光客もいるようです。
餌やりの方法を間違ってしまうと、鹿の健康を損ねることにもなりかねません。鹿への餌やりは、ルールやマナーを守って、人も鹿も楽しく行いましょう。
また、観光客が捨てたゴミや、公園内の所定の場所以外に放棄されている、コンビニやスーパーなどの買い物袋を、誤って鹿が食べてしまうなどの事故も発生しています。ポリエチレンなどの素材が使われている袋が、鹿の胃の中で消化されることはありません。
鹿の胃の中に、消化されないゴミが蓄積していくと、結果として健康を害してしまうことになります。誰かが掃除してくれるだろうなどと考えて、不適当な場所でゴミを捨ててしまうと、鹿がそのゴミを食べてしまうのです。鹿のためにも、ゴミはきちんと捨てましょう。
可愛くてもあくまで野生動物であることを忘れずに!
奈良公園や、その周辺にいる鹿は野生の鹿です。愛くるしい見た目や、人懐っこい振る舞いをしているからといって、何をしても大丈夫ということは決してありません。
例えば、生まれたばかりの子鹿に、むやみに近づけば母鹿に攻撃されます。ハーレムを作っている発情期のオスの鹿に近づけば、縄張りに入ってきた外敵とみなされて攻撃されるでしょう。
野生の世界は弱肉強食ですから、草食動物の鹿とはいえ、小さな人の子供が一人で、鹿に近づけば、思わぬ事故にも繋がりかねません。くれぐれも野生の動物との、ふれあいを楽しんでいるということを忘れないようにしましょう。
観光客による間違った餌やりで鹿への健康被害も
鹿せんべいは、鹿の健康などを考えて作られた鹿用の餌です。鹿せんべいであれば、餌やりに使ってもまったく問題ありません。しかし、人間の食べるお菓子やお弁当などを、鹿の餌やりに使ってしまう観光客がいるようです。
人間の食べるものは、味の濃いものや、香辛料など、鹿にとっては毒にしかならないような成分が含まれています。
味付けが薄いものなら餌やりに使って大丈夫などということはありません。生の野菜ですら、鹿の健康を損ねる可能性があります。鹿せんべい以外の食べ物を、餌やりに使わないことが大事なのです。
鹿せんべいをあげるときは素直に渡そう
鹿に餌やりをする祭は、じらさずに鹿せんべいをあげましょう。鹿に餌やりをすること、鹿が鹿せんべいを食べる姿を見て楽しめばよいのです。
また、鹿にとって、鹿せんべいはおいしい食べ物です。鹿たちも是が非でも食べたいのでしょう。鹿せんべいを購入した瞬間から、常に鹿から狙われているということを、忘れないでください。
あげしぶると噛まれることも
飼いならされたペットであれば、しつけの一環として「待て」と口頭で伝えるだけで、踏みとどまることもできるでしょう。
しかし、奈良公園にいる鹿たちは、あくまで野生の鹿なのです。待て、といわれて待つはずもなく、複数の鹿がいる場合は、我先にと、鹿せんべい目掛けて飛び掛る勢いで、食らいついてきます。
鹿せんべいを狙ってのことか、苛立ってのことか、鹿の気持ちはわかりませんが、あげしぶりを続けていれば、鹿に噛まれてしまうなんてこともあります。
奈良公園へのアクセス
奈良公園は、人気の観光地として、多くの観光客で賑わっています。人気の観光地なので、奈良公園までのアクセスは、非常によく、公共交通機関が整っています。
マイカーやレンタカーで奈良公園へ向かう方も、きちんと駐車場が整備されています。ただし、奈良公園周辺では、鹿が突然飛び出してきて交通事故になってしまうなど、車の運転には注意が必要なこともあります。
電車やバスを使った詳しいアクセス方法や、車で奈良公園を訪れる際の注意点などを紹介します。
まずは奈良駅を目指そう
奈良公園の最寄になる駅は「JR奈良駅」と「近鉄奈良駅」の2つがあります。今回は、両方の駅への東京からの行き方と、大阪からの行き方をご紹介します。
東京から奈良公園へ訪れる場合は、まず新幹線で京都駅へ向かいます。京都駅からJRを使ってJR奈良駅へは乗り換えなしで行けます。京都駅から近鉄奈良駅へ向かう場合は、大和西大寺駅で乗り換えが必要です。
大阪から行く場合、JR奈良駅へ向かうなら、大和路快速に乗りましょう。近鉄奈良駅へ向かう場合は、まず大阪環状線で鶴橋駅へ向かいます。鶴橋駅で乗り換えれば、近鉄奈良駅に到着です。
奈良駅からはバスで向かおう
JR奈良駅から奈良公園へ行くなら、バスを使いましょう。「ぐるっとバス」という奈良公園ルートを周遊しているバスが、土曜日と日曜日、祝日のみJR奈良駅の西口のバス乗場から出ています。ちなみに一回の乗車で100円の運賃です。
9時から17時まで15分間隔で運行しているので、本数が多く乗り遅れても安心です。奈良公園に行くなら、奈良公園ルートのバスに乗るのが一番です。
また、JR奈良駅から、奈良公園までは、徒歩で20分ほどの距離があります。歩くのが苦にならない方は、散策しながら奈良公園を目指すのもよいでしょう。
近鉄奈良駅からもバスが出ていますが、徒歩5分ほどで奈良公園に到着するので、奈良の町を散策しながら向かうのがおすすめです。
マイカーで行く人は要注意!鹿との交通事故
マイカーやレンタカーを利用して、奈良公園を訪れる際に注意が必要なのが、鹿の飛び出しです。鹿は、臆病な生き物ですので、物音や他の動物の匂いなどに驚いて、突然駆け出すことがあります。
奈良公園で駆け回っていれば交通事故にあうことがないのですが、奈良公園には柵がなく、また奈良公園の外にも鹿がいるので、鹿が道路へ飛び出してくることがあるのです。
2018年の事故発生件数は、66件で15頭の鹿が死亡しています。2018年の月別の交通事故発生件数を見ると、10月から12月に掛けて、事故が多発しています。
鹿が繁殖期に入って過敏になっていることや、冬になり薄暗い時間帯が多くなっていることが原因だと考えられます。10月から12月の時期に、奈良公園を訪れる際は、特に注意が必要です。
また、季節によらず、鹿の飛び出しによる交通事故を時間帯で見てみると、明け方や夜に多く発生しています。合わせて十分に注意してください。
鹿と交通事故を起こしてしまった場合は、速やかに警察か、一般財団法人奈良の鹿愛護会に連絡をしましょう。
故意に鹿を轢いたのでなければ、罪に問われることはありません。また、事故によって怪我をしている鹿を見つけた場合も、速やかに奈良の鹿愛護会に連絡をしてください。迅速な連絡が鹿の命を救うことになります。
住所 | 奈良県奈良市芝辻町543(奈良公園事務所) |
電話番号 | 0742-22-0375 |
奈良公園でマナーを守って天然記念物の鹿とふれあおう
奈良公園の鹿たちは、野生のままの状態で、人と共存共栄をしています。一部のルールやマナーを守らない観光客による悪質なイタズラによって、鹿との関係が崩れてしまうのは、とても悲しいことです。
奈良公園を観光する予定のある方は、ルールやマナーを守って、そのような悪質な観光客の一員になってしまうことなく、鹿とのふれあいを楽しんでください。