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ういろうとは?
お茶のお供といえば、ケーキやチョコレートといった洋菓子もありますが、日本人なら和菓子もお茶のお供にかかせません。和菓子といっても、数えきれないほどたくさんありますが、ここでは上品な味でお茶の時間が更に充実すること間違いなしの外郎(ういろう)に迫ります。
穀粉などを蒸して作る和菓子の一つ
ういろうは、どのようにして作られているかご存じですか?米粉(うるち米、もち米)、小麦粉、わらび粉などの穀粉に砂糖(白砂糖や黒砂糖)と湯水を混ぜて、練り合わせます。それを型に注いで、竹や木を編んで作られた蒸籠で蒸して作られています。
定番の味は白・黒・抹茶・小豆
スイーツは、いろいろな味を楽しめることも魅力の一つです。もちろん、ういろうもいろんな味を堪能できます。
室町時代のころからある黒砂糖を使った黒糖ういろうが本来の姿といわれています。やはり定番は、白ういろう、黒ういろう、抹茶を使用した抹茶ういろう、小豆ういろうです。
他にも色々な味がある
日本は四季が豊かで、季節の訪れを感じさせてくれる旬の食材がたくさんあります。ういろうも季節ならではの味を楽しめます。
蓬(よもぎ)ういろうは、春の風を感じさせてくれますし、栗ういろうは、実り多い秋の空気をふんだんに味わえます。こうした楽しみ方ができるのも、昔からたくさんの人に愛されている人気の理由です。
ういろうは薬だった?
ういろうの起源であるといわれている小田原の外郎家の祖先は、室町時代に中国から日本に亡命した陳延祐(ちんえんゆう)です。陳延祐は、中国の元王朝の薬を調達する礼部員外郎(れいぶいんがいろう)という役職でした。
当時最先端だった中国の製薬や医術の知識が貴重だったため、評判となり、二代目の宗奇(そうき)の頃には京都で将軍足利義満に仕えるようになります。
宗奇(そうき)が作る薬は重宝されていたそうで、夏の暑いときに烏ぼしにいれていた薬が溶けていい匂いがしたため、時の天皇が薬に「透頂香(とうちんこう)」という名前を授け、後に外郎家が作る薬ということで、「ういろう」と呼ばれました。
ういろうは各地で名物だった
ういろうは、名古屋が有名ですが、実は全国各地で大人気の和菓子です。ういろうはシンプルな製法でつくられているので、アレンジもしやすく、日本全国たくさんの地方に広まりました。
名古屋のほかにも小田原や山口のういろうも人気です。美味しいういろうが地方ごとにどんな味になっているのか気になりませんか。各地のういろうの特色を見ていきましょう。
1:小田原のういろう
小田原と言えば、小田原城があって、城下町として栄えていた歴史のある街のイメージがあります。ういろうも同じように、歴史ある街で、たくさんの人に食べられる人気のお菓子となりました。
万能薬「ういろう」とお茶菓子「ういろう」
小田原外郎家が作っていた薬は「ういろう」と呼ばれ、重宝されていましたが、外郎家二代目宗奇(そうき)が朝廷で接待役をしていた時に、接待用として考えたお菓子が好評で、そのお菓子のことを「お菓子のういろう」と名付けられたそうです。
もともと薬屋だったので、ういろうについてくる説明書には、病み上がりの方、小さな子供妊婦さんでも安心して食べられる栄養菓子と書かれています。美味しいうえに、家族で安心して食べられる安全なお菓子です。
2:名古屋のういろう
みそかつに手羽先にひつまぶし、美味しいグルメを堪能するために、名古屋に旅行に行かれる方も多いのではないでしょうか。そんなグルメの街、名古屋のお菓子もたくさんありますが、やっぱり代表的なお菓子と言えば、ういろうでしょう。
ういろうといえば名古屋が知名度がある
定番中の定番、名古屋のういろうと言えば、知名度抜群です。名古屋は、和菓子の消費量が日本一で、ういろうが名古屋の方に親しまれていることがわかります。ういろうのお陰で、和菓子の消費量の日本一を支えているのでしょうか。
名古屋のういろうは、うるち米からできる米粉を使用しています。東海道新幹線が開通したとき、名古屋名物ういろうとして車内販売が許可されて、一気に有名になりました。
3:伊勢のういろう
伊勢の定番和菓子と言えば、みんな大好きな赤福が思い浮かびます。あのしっかりとした濃厚なあんこが日本人の舌にも心にも響きます。そんな伊勢ですが、ういろうも密かに人気があります。
伊勢では、小麦粉を使用しているため、コシがあって弾力のある食感となっています。あっさりとした口当たりも人気の秘密です。
4:京都のういろう
日本を代表する古都・京都には、老舗の和菓子屋さんがたくさんあります。美味しい和菓子を求めて、和菓子巡りの旅行をする方も多くいらっしゃるに違いありません。
そんな京都でも1855年創業の五建外良屋が「五建ういろ」を販売しています。厳選された小豆、米粉、良質の小麦粉を用いて、素朴ですが手作りの味わいの良さを楽しめます。
住所 | 京都府京都市東山区五条橋東18-1 |
電話 | 075-561-6101 |
5:神戸のういろう
神戸は、異国情緒あふれる洗練されたスタイリッシュなイメージがあります。神戸港が開港し、いろいろな国の多彩な文化がおしゃれできれいな街並みを作り出しています。
神戸は、バームクーヘンやクッキーなど、洋菓子が有名な印象がありますが、ういろうがとても美味しいと評判のお店が「長田のういろや」です。1877年からういろうを作り続けている老舗で、まだ作りたてのあたたかいういろうが購入できます。
長田のういろは、米粉と葛粉と砂糖を使っていて、もっちりした食感が楽しめます。他の地域のういろうと比べると、とってもやわらかくて食べやすくて美味しいです。
住所 | 兵庫県神戸市長田区長田町1-3-1 |
電話 | 078-691-0987 |
6:徳島のういろう
徳島と言えば、阿波踊りや鳴門の渦潮など、ダイナミックなイメージで、自然が豊かなところが魅力です。そして、ういろうも「阿波ういろ」という名前でとても親しまれています。
阿波ういろは、もっちりとした歯ごたえの食感となっています。大納言小豆、餅粉、米粉、砂糖と使用しているのですが、砂糖の代わりに、和三盆や徳島の阿波和三盆糖が使われることもあります。和三盆糖の上品な風味が、ういろうを一層美味しく引き立てます。
7:宮崎のういろう
美しい海と温暖な気候で南国ムード満載の宮崎は、旅行スポットとしてとても人気があり、宮崎に旅行に行きたい方も多いのではないでしょうか。名産品のマンゴーは、とろけるような甘さで、一度食べたら、忘れられない美味しさです。
宮崎のういろうは、青島地方の特産品で古くから伝っています。青島ういろうと呼ばれており、うるち米と砂糖を使った「白ういろう」と黒砂糖を使った「黒ういろう」があります。
最近では、宮崎県産米を使用し、地元の素材を使った日向夏、宮崎マンゴー味、都城茶味なども楽しめます。地元の素材を使ったういろうは、地元の方にも、旅行者にも大人気です。
山口県の名物・ういろう
山口県は、本州の最西端にあり、山口と九州の間には美しい関門海峡があります。山口には、秋吉台や秋芳洞のような自然が豊かにあり、また明治維新を担った豊かな文化も有名です。
山口のグルメと言えば、海の幸が豊かで、ふぐが有名です。最近は山口の美味しい地酒も人気があります。そんな山口も山口外郎(ういろう)が人気で美味しく山口県民に愛されています。
山口のういろうは「わらび粉」で作られている
山口外郎(ういろう)は、わらび粉に砂糖を加えて、蒸してできています。他の地域では、米粉や小麦粉を使っていましたが、山口で使われているわらび粉といえば、わらびもちの原材料です。山口のういろうは他の地域とは、どのように違うういろうなのでしょうか。
わらび粉とは?
わらび粉は、シダ食物の一種のワラビの根から取れるデンプンを乾燥させて、粉末状にしたものです。粘りが強くて、デンプンの粉臭さはありません。
昔からわらび粉は食材として利用されてきましたが、わらび粉を作るには、精製にとても手間がかかるので、庶民は日常的には食べていませんでした。身分の高い人が食べたり、凶作の時に、非常食として食べられていたという説もあります。
山口のういろうは食感が違う
わらび粉を使っている山口外郎(ういろう)、いったいどんな食感なのでしょうか。山口外郎(ういろう)の食感は、わらびもちのようなくにゃっとしたやわらかさと、みずみずしさが特徴です。
くせがなく、とろりとしていて、とても美味しい上品な味で、山口の皆さんに愛されています。
山口のういろうなら「生ういろう」が美味しい
山口の「生ういろう」、名前を聞いただけでも美味しそうで、食欲を掻き立てられます。「生ういろう」は、普通のういろうと何が違うのか、見ていきましょう。
山口の「生ういろう」とは?
真空パックされた状態で売られているういろうは、お土産でお友達に配る時にも、日持ちがするので重宝します。山口の生ういろうは、蒸したてのういろうなので、さらに柔らかい食感を楽しめます。
消費期限は最大3日で短い
生ういろうは、蒸したばかりのういろうを、常温に冷まして、軽く包んであるので、日持ちはしません。その分出来たてほやほやの状態のういろうを食べられます。
「生ういろう」はより柔らかな食感が楽しめる
山口外郎(ういろう)は、わらび粉を使っているので食感がとても柔らかいのですが、出来たての生ういろうは、さらに柔らかくてとろっとした食感が楽しめます。口の中でとろける美味しさは格別です。一度は山口に行って食べてみたい一品です。
山口外郎から生まれた人気の銘菓「豆子郎」
山口外郎(ういろう)と言えば、山口県民のみなさんから愛されている「豆子郎」ははずせません。豆子郎は、山口県大内御堀にあり、山口県内にお店が12店ある和菓子屋です。店舗は山口県内にしかありません。
もともとエンジニアだった美介は、「しろうと」が作ったという意味に「豆」をつけて、「豆子郎」という名前をつけたのです。素人が、奢ることのないように、という意味も込められています。
山口のみなさんに寄り添った和菓子を各種扱っていますが、社名にもなっているういろうの「豆子郎」が代表的な商品です。
銘菓「豆子郎」が人気となったひみつは?
山口で生まれた豆子郎の創業者の田原美介は、満州鉄道のエンジニアでした。その後ふるさとの山口に帰国しても、エンジニアの職業がなかなか見つかりませんでした。
美味しいもの好きだった美介は、山口の名産「山口外郎(ういろう)」をもっと美味しくできないか、もっと美味しいお菓子はできないか、と考えました。
試行錯誤の末、他の山口外郎(ういろう)とは一味違ったお菓子「豆子郎」を完成させたのです。エンジニアの美介の意気込みが、美味しいういろうを山口から世に送り出したのです。
独特の歯触りと口溶けの生地に「豆」を混ぜて蒸した
いろいろな材料で作っては試食することを繰り返し、オリジナルの配分と製法で、他にない口当たりの「生地」が生まれました。その生地に「豆」を混ぜて、蒸したところ、生地と豆がお互いの良いところを出すことができ、新しいお菓子が生まれました。
数々の失敗を繰り返して、他のういろうとは違う、格別の食感と味わいのういろうが出来たのです。
細長く拍子木状にカットし食べやすくした
女性であれば、食事をする時に、食べにくい大きさのものは、どのように食べれば良いか迷うときがありませんか。美介は、食べやすさにもこだわり、細長い拍子木状にカットして、女性が食べやすいようなういろうを作りました。
日持ちのための「密封包装」の開発で全国へ
当時は、戦後で甘いものはなかなか手に入らない状況でした。地元の山口のみなさんも、甘いものに飢えていたので、あっという間に「豆子郎」は山口の人々に親しまれ、食べられるようになりました。
そのうちお客様から、ういろうを日持ちすることはできないか、というお願いが多く届きました。
元々エンジニアだった美介は、「密封包装」を考案して、実現させました。何度も失敗を重ねて、加熱殺菌用フィルムを完成させたのです。美介が考えた密封包装のお陰で、お土産として山口の名産「豆子郎」が羽ばたいていったのです。
みずみずしい創業当時の味わいを再現「生絹豆子郎」
密封包装が使われるようになったお陰で、山口の人々だけでなく、たくさんの人に愛されてきた「豆子郎」ですが、当時の味はどんな味だったのでしょうか。
昭和60年に、当時の味を再び作りだした「生絹(すずし)豆子郎」が誕生しました。生で絹のようなういろう、という名前だけでも、どんなに艶やかで滑らかな食感か、想像に難しくありません。
消費期限の長い「豆子郎」とは違い、みずみずしく新鮮な味が一度食べたら忘れられないくらい美味しくて、みなさんを魅了してやみません。
住所 | 山口県山口市大内御堀1丁目1−33 |
電話 | 083-925-2822 |
山口県の名物「生ういろう」「豆子郎」を食べてみよう
今回は、山口の名産山口外郎(ういろう)の銘菓「豆子郎」をご紹介しました。山口外郎(ういろう)の中でも、山口の皆さんに愛され続けている「豆子郎」のういろうを食べてみたくなったでしょうか。
その中でも、絶品の生ういろう「生絹豆子郎」も一度は食べてみたい山口の名品です。「生絹豆子郎」は消費期限が3日ととても短いので、ぜひとも山口に足を運んで、出来たての生ういろう「生絹豆子郎」を食べてみてはいかがですか。