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富士山周辺だけでなく全国に約1300社ある浅間神社の総本宮でもある富士山本宮浅間大社には「浅間大神」と呼ばれる山神様が祀られています。そして浅間大神は、日本神話に登場する「コノハナノサクヤヒメノミコト」であるというのが一般的な説です。
コノハナノサクヤヒメノミコトは、非常に美しい女性の神様でした。そんな美しいコノハナノサクヤヒメノミコトに一目ぼれしてしまったのが、日本の始祖・天照大御神の孫であるニニギノミコトです。
ニニギノミコトは天で生まれた神様で、天孫降臨によって地上に降りてきました。そして旅先で気に入り留まることにした傘挟岬でコノハナノサクヤヒメノミコトに一目ぼれしてしまい、その場で結婚の申し込みをします。
ニニギノミコトの求婚をきいたコノハナノサクヤヒメノミコトの父は、喜んで彼女を嫁がせることにします。ただしこの時にコノハナノサクヤヒメノミコトだけではなく、姉のイワナガヒメもいっしょにニニギノミコトのもとへ嫁がせたのです。
これに驚いたのはニニギノミコトでした。美人であったことに一目ぼれして求婚したコノハナノサクヤヒメノミコトでしたが、一緒に嫁いできたイワナガヒメは姉妹と思えないほど醜かったのです。そこでニニギノミコトは、イワナガヒメだけをすぐに実家に帰してしまいます。
嫁に出した姉妹のうち、姉だけが実家に戻されたことを知ったコノハナノサクヤヒメノミコトの父親は激怒します。実はコノハナノサクヤヒメノミコトの父も山神の1人で、娘たちの夫が天照大御神の孫と知ったときにある誓いを立てていました。
しかも妹のコノハナノサクヤヒメノミコトによって花のような繁栄を、姉のイワナガヒメによって岩のような永遠の時間をにニニギノミコトに与えられるように契約をたてていたため、姉だけが送り返されたことに腹を立てたのです。
天照大御神の孫のもとへ嫁ぐ娘たちの幸せを願って契約をたてたにもかかわらず、醜い姉だけを送り返してきた新郎のニニギノミコトに対して、姉妹の父神は「おぬしの寿命はこれで短くなるだろう」と告げたといいます。
ところがニニギノミコトと結婚することになったコノハナノサクヤヒメノミコトも、順風満帆な新婚生活を送ることはできなかったようです。
実は傘挟岬でコノハナノサクヤヒメノミコトに一目ぼれしたニニギノミコトは、出会ったその日の夜に彼女を自分の住まいに招き一晩を共に過ごしています。するとコノハナノサクヤヒメノミコトは翌日には妊娠していました。
それを聞いたニニギノミコトは、「天の神でも一晩で妊娠することはあり得ない。だから妊娠した子は天孫(天照大御神の孫)である俺の子ではない」とコノハナノサクヤヒメノミコトにいい放ちます。
さすがにコノハナノサクヤヒメノミコトもこの言葉に激怒します。そして出口のない小屋に閉じこもり「お腹の子が(天照大御神の孫である)あなたの子でなければ、ここで焼け死ぬでしょう」と契約をたて、小屋に火をつけさせたのです。
その後コノハナノサクヤヒメノミコトは無事に3人の子を出産したため、お腹の子はニニギノミコトの子であると証明しました。なお生まれてきた子のうち、兄はのちの海幸彦、弟はのちの山幸彦となります。
最後に富士山の浅間神社と深いかかわりを持つことになったコノハナノサクヤヒメノミコトの父のことに触れておきましょう。
実はコノハナノサクヤヒメノミコトの父は、神奈川県の大山の山神様・大山津見神です。しかも大山津見神は、国造りの神であるイザナギノミコトとイザナミノミコトの子どもです。そのため天照大御神とも深いつながりがあった大山津見神は、娘たちの結婚をとても喜んでいました。
そんな大山津見神の気持ちも知らず、暴挙に出て大山津見神を激怒させてしまったニニギノミコトは、予言通り短命に終わったといいます。
ただし父と娘の関係はその後も良好でした。その証拠に日本一の美しさといわれる富士山と大山の姿はよく似ていますし、富士山も大山も、ともに山岳信仰の象徴的な山です。
また娘神が祀られている富士山の富士山本宮浅間大社は浅間信仰の中心的な存在ですし、父神が祀られている大山の阿夫利神社は大山信仰の象徴です。どちらも関東周辺では有名な山岳信仰の地なので、古くから登拝者が多く訪れます。