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クンストカメラは創設より5年後、一般に公開されるようになりました。そしてしばらくの間、なんと入場料が無料だったのです。これは「知識を求める人に教養と娯楽を大いに与えるべきである」というピョートル大帝の意向によるものでした。
かつては「生きた展示物」も
クンストカメラでは、当初奇形を持つ人、障害を持つ人、珍しい身長や外見の人を生きたまま展示していました。
また彼らの死亡後、遺体をホルマリン漬けにし、ガラスケースに展示していました。のちに紹介するその人体標本の数々は、今でもクンストカメラに多く展示されています。
当時奇形や障害を持った人は「親の不徳により生まれる」として不遇な扱いを受けていました。そのような彼らの働く場所を提供するとともに、死後には医学的な見方で解説するという思考があったとされています。
映画「グレイテスト・ショーマン」でも見られるように、奇形や障害を持った人を見世物にするということに関して諸説あり、非常に賛否が分かれるところでした。クンストカメラもまた、その議論の的に何度もなっていました。
クンストカメラの展示物
ここまで紹介したように、クンストカメラにはその数は200万種類と、非常に多くの展示物が存在しています。どれも自然に目を惹いてしまうようなものばかりで、一つ一つ見ているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。
ここではクンストカメラの数多くの所蔵品のうち、特に人気の高い数々をご紹介します。中には少しショッキングなものもあるので、リアルな遺体のホルマリン漬けや人体標本が苦手という方は注意です。
世界中の民族資料や人体標本コレクションが展示
クンストカメラの1階は、世界の民族コーナーとなっています。前述の通り、強い貿易力を手に入れたロシアは、世界各地から民族学的資料を寄せ集めました。
当時の貴重な資料である民族衣装を着たマネキンが圧巻です。エスキモーの狩猟、インド・東南アジアの祭典、ラテンアメリカの原住民の服飾など、非常に希少性の高い資料が多く、民族学が好きな人から人気の高いコーナーになっています。
2階は1階に引き続き、民族学の紹介コーナーになっています。そして一角に、クンストカメラの人気の一つである動物の剥製や人体標本、自然を学ぶコーナーになっています。膨大な動物や人の標本に混ざり、双頭や単眼、シャム双生児といった奇形に関する資料も展示されています。
ホルマリン漬けにされた奇妙な形をした胎児、人の頭部、体の一部が並ぶ光景は、最初はぎょっとするもの、自然に目が惹かれてしまうものもあります。
展示されている遺体は死産であったり、生まれてすぐに亡くなったものがほとんどですが、中には結構大きく育ってから病気(処刑という説もあり)で亡くなったと思われる人間の遺体もあり、複雑な時代背景を考えさせられます。
3階は、天文学や自然科学が中心の展示になっています。鉱物や実験器具、地球儀といった資料が多く展示されています。どれも当時の貴重なものばかりで、当時の人がどのように自然や科学の謎を究明していたかに迫れる展示になっています。
歴史や科学が好きな人にはもちろん、クラシカルでサイエンティストな世界観が好きな人にもたまらない空間です。こちらは撮影の可否に関して諸説あるので、写真を撮りたい方は現地で確認されることをおすすめします。
ヤポニア(日本)コーナーも
クンストカメラの中でも、日本人にぜひ行ってほしい人気のコーナーが、ヤポニア(日本)に関するコーナーです。17世紀のロシアやヨーロッパでははるか遠くの日本に関する資料はとても貴重で、当時から人気が高かったのもうなずけます。
鎧兜や着物を着たマネキンや、能面、雛人形、仏具など、日本の自然や暮らしを伝える資料が沢山あります。日本人からするとおなじみのアイテムがずらりと並んでいる光景に、なんだか嬉しくも奇妙な感覚になります。
日本のアイテムは開国後、ロシアに輸出されたものなので、時代的には江戸時代から昭和初期頃までのものになります。やはり「サムライ」はロシア人に人気です。