【ふぐ】の旬は冬だけじゃない！おいしい季節とおすすめの産地は？

ふぐは和食の高級食材として知られる魚です。たんぱく質が豊富で脂肪が少ないヘルシーな食材で、コラーゲンも豊富に含んでいるため美肌効果も期待できるので美容や健康に気づかう方におすすめです。

ふぐは毒のある魚としても有名です。ふぐの毒は猛毒で、ふぐの種類によって毒のある部位が異なります。ふぐ調理師の免許がある人だけがふぐを調理できます。

ふぐは様々な調理方法で食べられています。甘みと旨味のある身は刺身に、皮はおつまみや和え物に、精巣は白子として天ぷらや焼き物として食べられています。旨味がたっぷりあるふぐは鍋の食材としても人気で、〆を雑炊にすればふぐの旨味を余すところなく食べられるでしょう。

ふぐを食べるなら旬の時期がおすすめです。旬はふぐを特においしく食べられる時期です。ふぐの旬の時期を押さえて、おいしいふぐを食べましょう。

ふぐには旬の時期があります。旬とは食材の旨味が豊富で栄養価の高い時期です。野菜の旬は露地栽培でもっともおいしい時期を指しますが、魚の旬は産卵前に栄養をため込む時期です。

旬は野菜や魚の種類ごとに決まっていますが、ふぐの旬には様々な説があります。ふぐを食べるのにおすすめの旬の時期をご紹介します。

ふぐの旬は一般的に冬と考えられています。冬になると日本料理店で旬のふぐを使った料理がメニューに並ぶようになります。ふぐを代表する種類であり高級魚として有名なとらふぐは12月から2月が旬です。

ふぐは寒い季節に美味しく食べられる料理の食材としても知られています。冬に食べるふぐ料理として代表的なものはふぐちりです。てっちりとも呼ばれます。ふぐちりはふぐと野菜、豆腐などを水炊きにしたシンプルな鍋料理です。

とらふぐのヒレを炙り、日本酒の熱燗に入れて飲むヒレ酒も人気です。ふぐの旨味と香りが日本酒に移って熱燗をおいしく味わえるおすすめの飲み方です。ふぐは寒い季節においしく食べられる魚なので、冬が旬と考えられています。

ふぐと一緒に食べるとおいしいすだちやかぼすの旬が冬なので、ふぐの旬も冬と考えられているという説もあります。

ふぐは冬の食べ物と考えられていますが、ふぐの旬は9月下旬頃の秋の彼岸9月下旬頃から3月下旬頃の春の彼岸といわれています。一般的に考えられる冬よりも長い期間がふぐの旬とされています。

3月下旬にふぐの旬が終わるとされている理由は、4月に入るとふぐの毒性が強まるためです。ふぐが産卵期を迎える4月から6月頃はふぐの卵巣に栄養が蓄えられ、毒性も強くなります。そのため春の彼岸を過ぎてからふぐを食べるのは危険と考えられていました。

産卵期を迎える前がふぐの旬になるため、旬を過ぎたふぐは味も落ちて中毒の危険が高まると考えられていました。現在はふぐの調理は知識のある専門の調理師が行うため、旬を過ぎたふぐでも毒の部位を取り除けば調理が可能です。

春の彼岸が過ぎた4月から秋の彼岸を迎える前の9月上旬まではふぐの旬とは呼べないと考えられますが、暑い季節もふぐをおいしく食べられます。江戸時代には「ふくとう汁」という、夏が旬の野菜であるナスとふぐを使った汁物が食べられていたという記録があります。

ふぐを使った人気メニューはふぐちりやヒレ酒など寒い季節に最適なものが多いですが、暑い季節にも楽しめる刺身も人気です。弾力のあるふぐは皿の模様が透けるほど薄く切って盛り付けられるので見た目も華やかで、ふぐ刺しはお祝いの席におすすめの料理です。

ふぐは回遊魚で、海水温度が14度から16度になる場所を求めて日本の沿岸を泳いでいるといわれています。ふぐの産地として有名な日本海南部や九州北部の地域では冬にふぐが取れますが、夏は東北のふぐがおいしい季節になります。

ふぐを代表するとらふぐの産卵期は3～5月頃で、産卵期前が栄養を蓄えていて旬であると考えられています。産卵期を過ぎると卵巣や精巣に集まっていた栄養が筋肉に行きます。

夏のとらふぐは身が締まっていておいしいといわれています。ふぐの旬と考えられている産卵期前の時期を過ぎても、ふぐはおいしく食べられます。

夏のふぐはさっぱりと刺身やたたきで食べるのがおすすめです。から揚げにするとビールにも合います。ふぐは白身魚なので、旬の夏野菜とあわせて彩りのよいカルパッチョにするのもおすすめです。

夏は暑さのために食欲が落ちて夏バテしやすい時期ですが、高たんぱくで低脂肪なふぐは夏バテ防止におすすめの食べ物です。ふぐはコラーゲンも豊富なので、夏の強い紫外線で疲れた肌にも効果があるといわれています。

天然物のふぐは高級魚ですが、養殖のふぐは季節を問わず一年中出回っています。養殖のふぐは天然のふぐとは異なり旬の時期はなく、一年を通しておいしく食べられるといわれています。

ふぐは毒のある魚として有名ですが、ふぐがエサとして食べるプランクトンなどに毒が含まれていることによりふぐの体内に毒がたまるといわれています。養殖のふぐでは毒の無いエサを与えているため無毒化したふぐを育てられます。

日本各地には様々なふぐの産地があります。それぞれの漁場の特徴を活かして、おいしいふぐが育てられています。養殖のふぐは旬の時期に限らずおいしく食べられるのでおすすめです。人気のあるふぐの産地をご紹介します。

淡路島のふぐは「淡路島3年とらふぐ」というブランドふぐとして人気があります。ふぐが成長して食べられるようになるまでは通常2年かかりますが、淡路島では3年かけて大きく育てられます。

2年育てられた通常のふぐは800g程度ですが、3年かけて育てられた淡路島のとらふぐは1.2～1.8kgの大きさに成長します。ふぐの中でも人気の高い白子も大きく成長します。

淡路島のとらふぐは福良湾で養殖されています。日本一水温が低いといわれている養殖場で、潮の流れが日本一速いといわれる鳴門海峡の近くで育てられたとらふぐの身は引き締まっています。味も濃厚で天然のとらふぐとほとんど変わらないといわれています。

淡路島のふぐは養殖ですが11月頃から旬の時期になります。地元の温泉旅館や民宿、専門店で提供されるほか、お取り寄せもあります。淡路島のふぐを自宅にいながらふぐちりやふぐ刺しで楽しめます。

下関はふぐの本場として知られています。古くからふぐ食が盛んで、ふぐの毒を取り除く技術も発達していました。ふぐは毒によって最悪の場合死に至ることがあり、16世紀には武士の間でふぐ食は禁止されていました。

ふぐ食禁止令が出された後も庶民の間ではふぐが食べられてきましたが、明治18年にはふぐ食を禁止する法律が出されて庶民もふぐが食べられなくなりました。

明治20年に当時の総理大臣である伊藤博文が下関を訪れた際、不漁で食材が不足していたために処罰覚悟でふぐの刺身を提供しました。そのふぐが非常においしかったため、明治21年には山口県限定でふぐ食が解禁されました。

下関は天然とらふぐの産地でもありますが、日本各地から旬のふぐが集まる場所でもあります。ふぐ食の歴史の長い下関の職人たちはふぐの品質を見極める力が非常に高いといわれています。下関で旬のふぐが味わえるのは11月から2月頃です。

敦賀市のふぐは「若狭ふぐ」と呼ばれるブランドふぐです。福井県は日本有数のふぐの産地で、ふぐの養殖が盛んです。若狭ふぐは味の良さが人気です。

若狭ふぐがおいしくなる理由は水温にあります。豪雪地帯として知られる福井県では、3月から5月にかけて雪解け水によって水温が低い時期が続きます。若狭湾の冷たい水によって身が引き締まったふぐが育ちます。

若狭ふぐは旬の時期にかかわらず一年中安定して生育され、夏でもふぐを楽しめます。若狭ふぐは地元の旅館や民宿、料理店で楽しめるほか、お取り寄せも可能です。ふぐが名産である敦賀市では、お土産として若狭ふぐをモチーフにしたふぐパイも人気です。

日本で食用とされているふぐは22種類います。種類によって旬の時期や味わいが異なります。ふぐは養殖技術の発達によって一年中食べられますが、旬の時期のふぐは格別です。

天然のふぐは特に旬の時期がおいしく食べられます。天然物のとらふぐは高級品ですが、歯応えが非常に優れているといわれています。ふぐの旬の時期を覚えておいしく食べましょう。