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離島の環境から生まれた「島寿司」
島寿司は、都心から287km離れた離島・八丈島で古くから伝わる伝統的な郷土料理です。島寿司で有名な八丈島の年間平均気温は17.8℃と高い上に湿度も高いので、「常春の島」と呼ばれています。
沖縄がアメリカの統治下にあった時代には、ハワイに代わる新婚旅行先として人気が高く、現在でも多くの観光客が訪れる人気の離島です。そんな八丈島で生まれた島寿司は、八丈島ならではの気候や環境から生まれた郷土料理です。
最も気温が低い1月でも日中の平均気温が10℃以下にならない八丈島ですから、現在のように冷蔵庫が普及していなかった時代には、食材の保存が非常に難しい地域でした。
周囲が海に囲まれているのでさまざまな種類の魚がとれるのですが、高温多湿の八丈島では魚の鮮度落ちが早く、生で魚を食べることが難しかったのです。そんな八丈島特有の気候・環境の影響で生まれたのが、独特の漬けだれでネタ(具材)を漬け込む島寿司でした。
島寿司とは?
「ヅケ」と呼ばれる調理法で作られるにぎり寿司・島寿司は、本州でも昔は一般的だったヅケのにぎり寿司と同じ発祥理由で誕生したレシピです。
もともとヅケは魚の保存方法が発達していなかった時代の保存技術として生まれた調理法で、現在のようなにぎり寿司のスタイルが確立する以前はヅケが寿司の主流でした。
とはいえ出汁しょう油に漬け込むスタイルはにぎり寿司の調理法が完成した後のことで、それ以前のヅケは塩と米に漬け込みました。このようなヅケスタイルで代表的なレシピに「鮒寿司」があります。
島寿司レシピの発祥がいつなのかははっきりわかっていませんが、明治時代以降に現在のような独特な調理法を使った島寿司が発達したといわれています。
明治時代は冷凍技術もありませんし、高温多湿な島の環境では魚を生で食べることがなかなかできませんでした。そんな環境だからこそ誕生したのが島寿司です。
八丈島や小笠原諸島で食べられる郷土料理
八丈島の郷土料理として有名な島寿司ですが、島寿司は「八丈島を含む伊豆諸島の郷土料理」という解説の方が正しいといえます。伊豆諸島は八丈島と同じく高温多湿な気候なので、水揚げした魚の保存法として島寿司のような調理法が使われるようになりました。
ですから伊豆諸島でも島寿司は郷土料理として今でも食されています。そんな島寿司ですが、八丈島よりもさらに南に位置する小笠原諸島の郷土料理としても有名です。
小笠原諸島は都心から南南東に約1000km離れた位置にあり、日本では唯一「オセアニア区」に属しています。30余りの島々によって構成される小笠原諸島ですが、一部の島以外はすべて亜熱帯に属するため、年間通して気温が高いのが特徴です。
しかも冬と夏の温度差がほとんどないので、八丈島よりも食材の保存が厳しい地域といえます。そんな小笠原諸島でも島寿司は郷土料理として有名ですが、小笠原諸島の島寿司は小笠原諸島で誕生したレシピではありません。
もともと八丈島の郷土料理として広く食べられていた島寿司が小笠原諸島に伝わり、その後郷土料理として親しまれるようになりました。なお小笠原諸島の島寿司と同じように、八丈島の島寿司レシピが伝わって島独自の郷土料理になったのが、大東諸島の大東寿司です。
大東諸島は八丈島から開拓のために移住した人が多かったため、移住者経由で島寿司レシピが伝わりました。大東諸島以外では「大東寿司」という呼び方が一般的ですが、島内では「島寿司」と呼んでいます。
ただし大東諸島に伝わる島寿司は八丈島に伝わる島寿司のレシピと異なる点があるので、「島寿司と大東寿司は異なる料理」とするのが一般的です。
唐辛子醤油につけた魚をネタにするのが特徴
八丈島の人気郷土料理・島寿司は、漬け汁が一般的なにぎり寿司のものとは違います。通常はしょう油・昆布・酒(場合によってはみりん)で作るのですが、島寿司では練りからしを加えた醤油ベースの漬け汁を使うのが特徴です。
さらににぎり寿司ではシャリの上にわさびをのせてからネタを握りますが、島寿司では練りからしを使います。
八丈島で島寿司が人気の店ではネタの上に練りからしを添えることもあるのですが、いずれの店でもわさびを使うことはありません。なお伊豆大島で作られる島寿司では、八丈島の島寿司のように練りからしを漬け汁に加えるのではなく青唐辛子を加えます。
青唐辛子の色素が漬け汁に染みでてくるため、伊豆大島の島寿司は八丈島の島寿司よりも色が濃いのが特徴です。なお伊豆大島のの島寿司は、独特な色の濃さから別名「べっこう寿司」とも呼ばれます。
ワサビが手に入りにくかったため
にぎり寿司にわさびではなく練りからしを使うのが島寿司の特徴ですが、もともとはわさびの代用として練りからしを使ったのが由来です。高温多湿な八丈島ではわさび栽培に適していませんし、島外からわさびを手に入れることもなかなかできません。
そこでわさびの代わりとして使うようになったのが練りからしです。現在はわさびの入手に困ることはありませんが、伝統的な味の継承として島寿司作りに練りからしが使われています。
一般的な寿司と島寿司の違い
「にぎり寿司にわさびを使わない」というのも珍しいのですが、「わさびではなく練りからしを使う」という点も島寿司ならではの特徴です。そんな島寿司には、練りからしのほかにも島寿司ならではの特徴があります。
シャリ
漬け汁には島によって若干作り方が違いますが、シャリは一般的なにぎり寿司のシャリと比べると甘めなものが多いです。
練りからしを加えて辛味の強いヅケに対して砂糖を多めにした甘めのシャリを組み合わせるため、シャリだけだと甘さが強いのですが島寿司にするとバランスが良くなります。ただし伊豆大島で作られる島寿司のシャリはそれほど甘くありません。
しかも特産の島海苔や刻んだ甘酢ショウガを酢飯に加えたシャリを使うこともあります。シンプルなシャリはにぎり寿司に使いますが、具を加えたシャリはちらし寿司風島寿司レシピの定番です。もちろんどちらの調理法でも「島寿司」と呼ばれています。
ネタ
島寿司のネタは島周辺の海で水揚げされた魚を使います。周りが海に囲まれていることや豊かな漁場に恵まれていることもあって、水揚げされる魚の種類は豊富です。
一般的なにぎり寿司のネタとして人気のマグロ、カンパチ、カツオ、イサキ、カジキなどもネタとして使いますが、トビウオ、メダイ、島海苔(岩海苔)など、東京都心の寿司店では滅多に見られないネタも島寿司では人気があります。
島海苔はヅケにせずシャリの上に豪快にのせるのが定番ですが、その他のネタは漬け汁でヅケにしてからにぎり寿司にします。なおネタの種類に関係なくヅケの味が濃いのが島寿司の特徴です。
都内で島寿司が食べられる人気のお店
独特の調理法が人気の島寿司ですから、本当においしい島寿司を食べるなら地元で食べるのがおすすめです。でも本場・八丈島の島寿司を提供している人気の店は、東京都内にもあります。
「浜やん」
吉祥寺にある「浜やん」は、東京都内でおいしい島寿司が食べられるおすすめの店です。島寿司発祥の地である八丈島の料理をメインにした居酒屋なので、当然八丈島名物の島寿司もグランドメニューにあります。
本場の島寿司が食べられる店としておすすめですが、八丈島でよく食べられているアシタバを使った料理や特産品のくさやも浜やんのおすすめメニューです。
なお島寿司などの八丈島料理がメインの浜やんですが、沖縄料理の定番メニューも食べられます。ミミガーやジーマミー豆腐など沖縄料理専門店でなければなかなか食べられないメニューが島寿司と一緒に食べられるところも、吉祥寺の人気店・浜やんのおすすめポイントです。
名称 | 浜やん |
住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-1早川ビル地下1階 |
「はっとり」
渋谷神宮前にある八丈島料理「はっとり」も、東京都内で島寿司が食べられるおすすめの店です。原宿駅のすぐ近くにあるのでアクセスにも便利ですし、島寿司のほかにもくさややアシタバなど八丈島の特産品を使った一品料理が食べられます。
なお八丈島産の焼酎「八丈焼酎」をビールで割った漁師割も、八丈島料理・はっとりのおすすめメニューです。店内は落ち着いた雰囲気なので、デートにも人気があります。
名称 | はっとり |
住所 | 東京都渋谷区神宮前6-4-1原宿八角館4階 |
島寿司は普段と違う寿司が楽しめておすすめ!
別名「べっこう寿司」と呼ばれる島寿司は、味付けしたネタに甘めのシャリを合わせる珍しいにぎり寿司です。
醤油やわさびを使わなくてもしっかり味がついている島寿司は、普段のにぎり寿司とネタは同じでも味わい方がまったく違います。そんな八丈島の島寿司は都心の店でも食べられるので、一度味わってみてはいかがですか?
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