東広島の郷土料理【美酒鍋】の魅力を総まとめ!日本酒で作るってホント?

東広島の郷土料理【美酒鍋】の魅力を総まとめ!日本酒で作るってホント?

美酒鍋は、東広島でよく作られる日本酒を使った鍋料理です。「日本酒で鍋?」と驚くかもしれませんが、実は美酒鍋には東広島の特産品がレシピの由来にあります。そこで東広島名物・美酒鍋の魅力を、おいしいレシピやおすすめの具と併せてご紹介しましょう。

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記事の目次

  1. 1.美酒鍋とは?
  2. 2.美酒鍋の基本的な具材
  3. 3.美酒鍋のおいしいレシピ
  4. 4.美酒鍋におすすめの日本酒
  5. 5.美酒鍋を自宅で作ってみよう!

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美酒鍋とは?

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日本には全国各地に、それぞれの地域の特産品を使った名物鍋料理があります。そもそも鍋料理は土鍋に具材を入れ煮込むシンプルなレシピなので、具や味付けによってさまざまなレシピにアレンジができるところが魅力です。

しかも鍋から直接取り分けて食べられるので、大勢で食事をするときにも便利な料理といえます。シンプルなレシピの鍋料理では、スープの味やたれなどで個性を出すことが多いです。

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そんな鍋料理ですが、東広島地域では日本酒をベースにした「美酒鍋」と呼ばれる鍋料理が人気です。料理名が美酒鍋ですから、「日本酒がすすむおいしい鍋料理」というイメージが料理名から浮かんできます。

ただし知名度としてはそれほど高くない鍋料理なので、どんな鍋料理なのか想像がつかない人の方が多いでしょう。たしかに「日本酒がすすむおいしい鍋料理=美酒鍋」でもあるのですが、美酒鍋と呼ばれるようになった由来は別にあります。

日本酒と塩胡椒のみで作る東広島の料理

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美酒鍋は、東広島市にある西城地区の郷土料理です。実は美酒鍋はこの地域で作られるある特産品がきっかけで誕生した鍋料理といわれています。美酒鍋が誕生した東広島市西条地区は、「東広島の酒都」と呼ばれるほど日本酒造りが盛んな地域です。

漆喰の白壁と黒のなまこ壁という伝統的な壁塗りの酒造所が点在しており、酒造所が並ぶ「西城の酒蔵通り」は東広島の人気観光スポットでもあります。

日本酒造りに欠かせない名水と良質な米が手に入る上に、日本酒造りに適した環境にあるため、東広島の西城地区は昔から日本酒造りが盛んな地域でした。

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もともとは広島を中心とした地酒として親しまれていた東広島の日本酒ですが、明治30年頃に軟水醸造法が開発されたことで、それまでの味とは異なる新しい日本酒ができます。

日本酒は「辛口」「甘口」という表現で味を区分しますが、水の性質の違いでも味に違いが出ます。いわゆる「辛口」といわれる日本酒は硬水が使われ、軟水を使うと「甘口」といわれる味になるのが日本酒の特徴です。

それまでは辛口といわれることが多かった広島の地酒ですが、軟水醸造法によって作られた東広島・西城地区の日本酒は、旨味と芳醇な香りが特徴の日本酒として広く知られるようになります。

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さらに広島の日本酒は「女酒」として注目されるようになると、全国的にも有名な酒造地になります。そんな歴史を持つ東広島だからこそ、まろやかな口当たりと米の旨味をたっぷりと蓄えた日本酒を使った鍋料理・美酒鍋が生まれました。

美酒鍋に使う日本酒の銘柄に、決まりはありません。「東広島の日本酒でなければ美酒鍋じゃない」ということでもないので、美酒鍋レシピが生まれた西城地区でも、さまざまな銘柄の日本酒が使われます。

ちなみに美酒鍋は出汁を取りません。具は家庭や店によって異なりますが、味付けを塩とコショウの2種類のみとするのが美酒鍋レシピの共通点です。

お酒が飲めなくても食べられる?

フリー写真素材ぱくたそ

出汁も取らず日本酒・塩・コショウだけで作る美酒鍋は、もともと酒造所のまかない料理として作られました。今でこそおもてなし料理として人気の美酒鍋ですが、本来は仕事の合間に食べる鍋料理=美酒鍋だったわけです。

しかも美酒鍋を考案したのは酒造所のオーナーですから、酒造りに支障が出ないよう、醤油や砂糖を使わない美酒鍋が生まれました。とはいえ気になるのは「アルコール」です。

「出汁の代わりに日本酒で作る鍋=美酒鍋」ですから、アルコールが苦手な人や子供が食べてもよいのか気になります。ところが美酒鍋は「鍋」とはついているものの、レシピ上では「鉄板焼き料理」なので、アルコールが苦手な人や子供でも問題ありません。

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鶏肉や豚肉を具に使うことが多い美酒鍋ですが、もともとの美酒鍋レシピには安くて栄養豊富な鶏肉の臓物(ホルモン)が使われていました。鶏肉よりも安く手に入りますし栄養も豊富な鶏の臓物を炒めてから、たっぷりの野菜を加え日本酒・塩・コショウで味付けします。

そのため美酒鍋は一般的な鍋とは違い、スープ(汁)がほとんどないのです。もちろん土鍋で作ることもありますが、通常は鉄板または鉄鍋を使います。このことからもわかるように美酒鍋は、鍋料理というよりも炒め煮料理に近いです。

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使用する日本酒も具材が浸るほど使うわけではありませんから、加熱する過程でアルコール分も飛びます。しかもアルコールの沸点は水より低い80℃なので、美酒鍋は子供が食べても問題ありません。

ちなみに美酒鍋は「びしゅなべ」と呼ばれることが多いのですが、本来は「びしょなべ」といいます。「びしょ」とは蔵人を意味する言葉で、「びしょ(蔵人)のまかない料理→びしょ鍋」というのが美酒鍋の由来です。

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なお「美酒」は単なる当て字でしたが、「おいしい東広島の日本酒で作る鍋料理」というイメージから、「美酒鍋=びしゅなべ」と呼ばれることが多くなりました。

なお美酒鍋に使われる日本酒は洋食のフランベに似た目的で使われるので、アルコール分を気にすることなく食べることができます。

美酒鍋の基本的な具材

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料理名に「鍋」がつく美酒鍋ですが、レシピ上では「鉄板焼き料理」なので、鉄板焼きに合う食材であれば基本的においしい美酒鍋になります。

とはいえそもそもが栄養満点かつスピード料理として作られたまかない飯ですから、栄養のもととなる肉と野菜は欠かせません。元祖・美酒鍋レシピでは鶏のホルモンに旬の野菜を加えていますが、ホルモンは鮮度落ちが早いので、精肉店でなければ入手困難でしょう。

そこでおすすめなのが鶏肉と豚肉です。部位は基本的に何でも構いません。日本酒を加えるので、どの部位を使っても柔らかくなります。野菜は旬の野菜をたっぷり使うのがおすすめです。

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鍋料理に定番の白菜や白ネギもおすすめですし、冷蔵庫にある残り野菜でも構いません。肉との相性が良い根菜類もおすすめです。なにしろ美酒鍋はまかない飯が原点ですから、「〇〇がなければ美酒鍋じゃない」ということがありません。

そのため動物性たんぱく質が摂れる肉さえ用意できれば、あとは旬の野菜や冷蔵庫にある余った食材を使うだけでおいしい美酒鍋ができます。

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美酒鍋のおいしいレシピ

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出汁がいらない美酒鍋は、レシピも簡単です。材料も冷蔵庫に余っている食材を中心に使えばよいですし、味付けも清酒・塩・コショウだけですから、家にある食材&調味料だけでも作ることができます。

材料

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簡単にできて栄養満点な美酒鍋は、さまざまな食材を組み合わせて作るのがおすすめです。鉄板焼き料理に分類される美酒鍋ですから、食材も鉄板焼きに合う食材であれば基本的に何を入れてもおいしくなります。

そんな美酒鍋ですが、主役となる肉を鶏肉・豚肉の2種類準備するのがおすすめです。鶏肉・豚肉ともに部位は問いません。

スーパーの特売で手に入った豚小間切れや豚バラでもよいですし、鶏肉は胸肉でもOKです。ヘルシーな美酒鍋を目指すならカロリーが低い部位にするとよいですし、味にこだわるなら脂の旨味が堪能できる部位がよいでしょう。

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もう1つの主役である野菜も、種類にこだわらなくよいです。炒め煮にするので、大量の野菜も美酒鍋にすればぺろりと食べられます。ただし灰汁の強い野菜は避けてください。シンプルな味付けなので、あくが強い野菜は扱いにくいです。

なおどうしても入れたい場合は、下茹でしたものを食べる直前に加えるとよいでしょう。ちなみに厚揚げ豆腐やこんにゃくなど煮物の定番食材も、美食鍋との相性が良いです。

作り方

フリー写真素材ぱくたそ

準備した食材を食べやすい大きさにカットしたら、「肉→野菜」の順に調理していきます。鍋料理の定番である土鍋で作っても構いませんが、煮物用の鍋の方が作りやすいです。まず鍋にサラダ油を少量入れ、鶏肉・豚肉を入れます。

火が通ったら塩・コショウで味を調えてください。次に野菜を加えます。野菜は火の通りが遅いものから順に入れ、全体的に軽く火が通ったら塩・コショウで味付けしましょう。あとは用意した清酒を加えて炒め煮にします。清酒は肉が浸る程度にしてください。

あとから追加することもできますが、入れすぎはNGです。清酒を加えたら強火にし、アルコールをしっかり飛ばしましょう。野菜を入れる時点ですでに肉に火が通っているので、野菜に火が通れば完成です。

美酒鍋におすすめの日本酒

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日本酒で作る美酒鍋ですが、実際には一般的な鍋料理とは違いスープがほとんどない炒め煮料理です。アルコール分は炒め煮の過程でしっかり飛ぶので、どの銘柄を使ってもおいしい美酒鍋ができます。

とはいえ料理酒では、美酒鍋本来のおいしさは再現できません。かといって「高級な日本酒を使えばおいしい美酒鍋が作れる」ということでもなく、どちらかというと手頃な価格の日本酒の方がおいしい美酒鍋になるのでおすすめです。

賀茂鶴 本醸造 上等酒

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美酒鍋レシピが誕生した東広島では、レシピを考案した酒蔵「賀茂鶴」を使うのが定番です。賀茂鶴は軟水醸造法によって作られたまろやかな舌触りと、余韻が楽しめるほんのりとした甘みが魅力に挙げられます。

そんな賀茂鶴では、冷や酒でも熱燗でもおいしい本醸造上等酒がおすすめです。美酒鍋を肴に飲む日本酒としてもおすすめですし、美酒鍋に使う日本酒としても最高の相性といえます。

もともと汁が少なめの美酒鍋なので、煮詰まって塩・コショウの味が強くなってきたら、飲んでいる賀茂鶴本醸造上等酒を加えるのが地元流です。値段もお手頃なので、地元では一升瓶で購入する人も多いおすすめの銘柄の1つといえます。

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美酒鍋を自宅で作ってみよう!

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日本酒をベースにするおいしい鍋料理・美酒鍋は、具沢山で栄養満点な鍋料理です。レシピ発祥地の東広島ではおもてなし料理としても人気があり、居酒屋や料亭でも人気があります。

そんな美酒鍋はレシピも簡単です。しかも美酒鍋のスープは具の旨味をたっぷり含んでいるので、締めまで楽しめるところも魅力の1つでしょう。

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akemi
ライター

akemi

小学生の娘の子育てに格闘しつつも、毎日の暮らしがちょっぴり楽しくなることを探すのが趣味です。仕事で全国各地をまわった経験から、街で見かけたおもしろいこと、ステキな景色、珍しいグルメなどを紹介します。

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