奈良県伝統の特産品【三輪そうめん】の魅力を総まとめ！おすすめの店や食べ方も

そうめんは、夏を連想する日本の代表的な食材です。細く伸ばした麺を冷やせば暑さで食欲が落ちる夏でもしっかりと食べられますし、乾麺の状態で流通しているのでストック食材としても人気があります。

値段も手頃なため、街のスーパーでは「一年中購入できる身近な食材」といえるそうめんですが、そうめんの中には贈答品としておすすめの高級そうめんが存在します。その1つが、奈良を代表する伝統的な特産品「三輪そうめん」です。

奈良の特産品・三輪そうめんは、手延べそうめんの1種です。麺にはいろいろな種類がありますが、大きくわけると手延べ・手打ち・機械麺の3種類になります。

インスタント麺のように大量生産されるものは機械麺がほとんどで、蕎麦・うどんのように生地を伸ばして包丁でカットするものは「手打ち」と呼ばれます。これに対して三輪そうめんは「手延べ」で作られるのが特徴です。

スーパーで安く手に入るそうめんの中には、機械で作るそうめん（機械麺）もあります。ただし大量生産を目的として作られているため、手延べそうめんとは食感がまったく違います。

奈良・三輪そうめんは、伝統的技法で作られる手延べそうめんの中でも特に歴史の古いそうめんです。そうめんは全国各地で作られているので、有名なそうめん産地も点在します。

そんなそうめんですが、「発祥の地」とされているのは奈良・三輪地方（現在の桜井市周辺）で、そこで作られるのが三輪そうめんです。日本三大そうめんでは、三輪そうめん（奈良）、揖保乃糸（兵庫）、小豆島そうめん（香川）の名が挙げられます。

いずれも歴史が古いですが、揖保乃糸は500年、小豆島そうめんは400年です。発祥から400～500年の歴史があれば、「伝統的」という表現が適した食材といえるでしょう。

これに対して奈良・三輪そうめんは1200年の歴史があるので、「日本で最も歴史の古いそうめん＝三輪そうめん」といえます。そもそも奈良時代に渡来してきた遣唐使が、そうめんの原料である小麦の栽培方法や小麦を使った製麺技術を日本に伝えました。

さらにその技術を定着させたのが奈良・三輪地方で、三輪地方で作られる小麦粉の麺をそうめんと呼ぶようになりました。その後そうめんの製造方法は全国に伝えられるようになり、のちに日本三大そうめんと呼ばれる揖保乃糸や小豆島そうめんが誕生します。

奈良・三輪そうめんも奈良時代のものと現在の三輪そうめんでは形・食感が違うようですが、三輪そうめんがそうめんジャンルのルーツであることには変わりありません。

三輪そうめんの産地として有名な奈良・桜井市には、「そうめん条例」というちょっと変わった条例があります。「条例」という言葉がつくと堅苦しいイメージがありますが、奈良・桜井市のような食材に関する条例は全国にも多数あります。

食材に関するちょっと変わった条例の多くが、「地域の特産品を地元でもっと食べましょう」「もっと多くの人に地元の特産品を知ってもらいましょう」などの趣旨で制定されています。

奈良・桜井市のそうめん条例もそれと同じで、特産である三輪そうめんの普及・促進を目的にそうめん条例を制定しました。

ちなみに全国にはかずのこ条例（北海道・留萌市）、ちゃんぽん条例（愛媛・八幡浜市）、りんごまるかじり条例（青森・板柳町）など、そうめん条例のようにユニークな条例が多数あります。

日本三大そうめんの中でも最も歴史が古く、そうめんのルーツともいわれる三輪そうめんは、一般的な手延べそうめんとも異なる特徴があります。その特徴こそ三輪そうめんの魅力であり、三輪そうめんが「高級そうめん」と呼ばれる所以（ゆえん）です。

奈良・三輪そうめんは、宝石のように美しい光沢とコシの強さが特徴です。三輪そうめんも一般的なそうめんと同じく、原材料に小麦粉・塩・油を使います。小麦粉の製粉方法は製麺所によって異なるため、製粉方法によってもそうめんの出来栄えに違いが出ます。

高級そうめん・三輪そうめんは、小麦粉の旨味を引き出すために雑味となる部分を大きく削っているのが特徴です。このように雑味を極限まで取り除いた小麦粉は非常に白く、製粉の時点で真っ白な光沢が出てきます。

奈良・三輪そうめんは厳しい寒さが続く極寒期に、製麺・乾燥させるのが特徴です。寒さによって強いコシが生まれるので、驚くほどしっかりしたコシがあります。

さらに乾燥してから一定期間熟成させるのが、三輪そうめんの伝統的な製法です。製麺所が集中する奈良・桜井市は、冬は寒く夏は蒸し暑いのが気候の特徴にあります。そんな環境の中で冬に作った麺を、熟成のために梅雨が終わるまで寝かせます。

このひと手間があるからこそ限界まで細く伸ばしてもしっかりとしたコシが生まれるため、三輪そうめんは温かい料理での食べ方も人気です。

奈良特産の三輪そうめんは、手延べ製法によって作られます。手延べ製法は棒状に伸ばしたそうめん生地に撚りをかけ、2本の棒を使って力を加えながら引き延ばす作業を繰り返すのが特徴です。

拠る・伸ばすを何度も繰り返すと、原材料である小麦のグルテンが麺の中心に来るため、極細サイズまで伸ばしても煮崩れしません。

さらに三輪そうめんにはのびにくい特徴もあるので、食べ方のバリエーションが豊富です。三輪そうめんを夏の定番の食べ方・冷やしそうめんにすれば、つるつるとしたのどごしのよさが楽しめます。

また極細でも煮崩れがしにくく伸びにくいのが三輪そうめんなので、寒い時期にはにゅうめん（温かいそうめん料理）にする食べ方が人気です。

三輪そうめんは伝統的な手延べ製法によって作られるそうめんですが、販売の際に「三輪そうめん」と表示することができるのは、特定の条件を満たしている商品のみです。

三輪そうめんと名乗るための条件は、「三輪そうめんの生産によって構成される組合の基準を満たしていること」「奈良・三輪地域で作られていること」の2点です。

三輪そうめん組合が自主的に定める品質基準は、国が定める手延べ製麺の品質基準よりも厳しく、さらに古くから伝わる三輪製麺の伝統的な製法を守ることが求められます。

この厳しい条件を満たしたものだけが「三輪そうめん」と表示することが認められ、間違いなく三輪そうめんであるということを証明するための帯紙と専用ラベルの表示が許可されます。

なお帯紙と専用ラベルには、日本最古の神社でありそうめん作りの守護神とされる大神神社の鳥居がマークに使用されているのが特徴です。ですから三輪そうめんか否かは、帯紙と専用ラベルを見ればすぐにわかります。

大量生産型のそうめんは製麺・乾燥が終わればすぐに出荷されますが、高級そうめん・三輪そうめんは製麺から時間をかけて熟成させることで旨味とコシが良くなります。

三輪そうめんの中でも「ひねもの（古物）」「おおひね（大古）」と呼ばれるのが、熟成三輪そうめんです。熟成期間によって呼び方が変わり、ひねもの三輪そうめんは1年以上、おおひね三輪そうめんは2年以上熟成させたものをいいます。

もちろん製造から出荷まで最低1年以上かかるのですから、ひねもの三輪そうめん・おおひね三輪そうめんは、三輪そうめんの中でも高値がつく貴重な食材です。

高級そうめんとして有名な奈良・三輪そうめんは、お中元やお歳暮としていただくこともあります。そんな時には、自宅でも簡単にできる三輪そうめんレシピで、高級そうめんの味を楽しんでみましょう。

冷やしそうめんにする食べ方は、三輪そうめん特有ののどごしとつややかな光沢が楽しめるおすすめの食べ方です。地元である三輪地方では錦糸卵やエビなどを添える食べ方が一般的で、専門店のトッピングでもよく見かけます。

乾燥後に熟成させる三輪そうめんはコシの強さと歯切れの良さが魅力なので、寒い日には温かいにゅうめんにする食べ方がおすすめです。にゅうめんでも錦糸卵やエビをトッピングする食べ方が、地元で人気があります。

小麦の香りとコシの強さが魅力の三輪そうめんは、冷やし中華風にアレンジする食べ方も人気があります。三輪そうめんで有名な奈良は夏の暑さが厳しいので、酸味のある冷やし中華ソースを使うと「さっぱりしておいしい」と人気です。

熟成によってコシだけでなく歯切れも良くなっている三輪そうめんは、蕎麦寿司のように巻き寿司風にアレンジするのもおすすめです。具の内容を変えるだけで子供向けそうめん巻やおつまみ系そうめん巻まで、いろいろとアレンジができます。

完成してすぐに出荷せず熟成させてコシの強い極細麺にする奈良・三輪そうめんは、地元では定番の食材です。そんな三輪そうめんは、発祥地・桜井市周辺に多数の三輪そうめん専門店があります。

千寿亭は、一年以上熟成させて完成させた高級そうめん「山辺の道」を使った三輪そうめん料理が人気です。

定番の冷やしそうめんやにゅうめんのほかに、三輪そうめんをメインにした本格ランチ「千寿亭昼膳（税込み1790円）」や会席料理「あすか懐石（税込み2310円）」などもあります。

直売所のすぐ近くにある三輪山本の食事処では、超極細三輪そうめんを使った絶品メニューが食べられます。人気の白龍を使った冷やしそうめん（税込み880円）や、糸よりプレミアム2年熟成を使用したにゅうめん（税込み880円）などが人気です。

そうめん處森正（そうめんどころもりしょう）は、三輪そうめんと関係が深い大神神社のすぐ近くにある三輪そうめん専門店です。参拝客の利用も多い店で、参拝客が多い時期には入場待ちの列ができることもあります。

定番の冷やしやにうめん（にゅうめん）も人気ですが、そうめん處森正にきたら釜揚げ（税込み930円）を注文するのがおすすめです。

コシの強い三輪そうめんだからこそ楽しめる絶品グルメで、上品な小麦の香りがシンプルに楽しめます。ちなみに三輪そうめんを使った豪華なメニューとして人気なのが「長そうめん（税込み1350円）」です。

冷やしと同じく冷たいそうめん料理ですが、シンプルな具が特徴の冷やしに対して、長そうめんは具がとても豪華になっています。そこで三輪そうめんそのものを楽しみたいときは冷やし、見た目でも楽しみたいときは長そうめんがおすすめです。

極上の三輪そうめんは現地で食べるのが一番ですが、わざわざ奈良・三輪地区に足を運ばなくても、通販サイトでお取り寄せができます。

「通販サイトのお取り寄せは、当たり・ハズレがある」といいますが、高級そうめんとして知られている三輪そうめんですから、安心して利用できる通販サイトからお取り寄せをするのがおすすめです。

とはいえ三輪地区内には多くの製麺所があるので、1つひとつの製麺所公式通販サイトをチェックする方法は時間がかかります。そこでおすすめの通販サイトが、三輪地区の生産者が共同で設立した「奈良県三輪素麺工業協同組合」公式通販サイトです。

奈良県三輪素麺工業協同組合・公式通販サイトで取扱う商品には、三輪そうめんの証明書である帯紙と鳥居の表示マークがすべてついています。

奈良県三輪素麺工業協同組合の公式通販サイトでお取り寄せをする場合は、新規会員登録が必要です。登録は無料ですし、通販サイト初回利用時に登録作業を済ませば、次回以降はログインボタンを押すだけで簡単に通販サイトの利用ができます。

鳥居マーク付きの三輪そうめんは贈答品としても人気が高いので、ギフト用として奈良県三輪素麺工業協同組合公式通販サイトを利用する人も多いです。

そのためギフト用の場合は備考欄に「包装希望」「熨斗希望」と記入すると、希望通りに対応してもらえます。さらに商品配達時間も、奈良県三輪素麺工業協同組合公式通販サイトから簡単に指定ができます。

製麺工場が長崎にある三輪山本は、超極細三輪そうめん「白髪」「白龍」を製造する製麺所です。奈良・三輪地区内で製造していないため、正式に三輪そうめんと表示されません。

ただし三輪そうめんの特徴である「細くてコシの強い麺」を究極まで追求したのが三輪山本「白髪」「白龍」なので、一般消費者の間では「おすすめの三輪そうめん製麺所」と認識されています。

そんな三輪山本には独自の公式通販サイトがあり、公式通販サイトから人気の白髪・白龍のお取り寄せが可能です。

なお自社工場は長崎にありますが、本社は三輪そうめんで有名な奈良・桜井市にあります。本社のほかに直売所もあるので、奈良の三輪山本直売所で名物の極細三輪そうめんを購入することができます。

コシの強い極細麺の三輪そうめんはいろいろな食べ方ができますが、定番の冷やしそうめんが、三輪そうめんの魅力であるのどごしの良さをシンプルに楽しむおすすめの食べ方です。

そんな三輪そうめんは地元で食べるのが1番ですが、通販でのお取り寄せもできますし、高級品として有名なので贈答品としても人気があります。

※ご紹介した商品やサービスは地域や店舗、季節、販売期間等によって取り扱いがない場合や、価格が異なることがあります。