関西名物【関東煮】はおでんと違う食べ物!歴史や簡単に作れるレシピをご紹介

関西名物【関東煮】はおでんと違う食べ物!歴史や簡単に作れるレシピをご紹介

関西ではおでんのレシピによく似た「関東煮」が名物です。関東煮はあくまでも関西名物の料理であって、関西で食べる関東風おでんとは違います。そこで地元・関西でおいしいと評判の関東煮を、おすすめの具やおいしい食べ方、関東煮の名店と併せてご紹介しましょう。

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記事の目次

  1. 1.関西名物なのに「関東煮」?
  2. 2.関東風おでんと関東煮は違う
  3. 3.簡単おいしい!関東煮のおすすめレシピ
  4. 4.関東煮の人気店 3選
  5. 5.おでんと似ているようで違う関東煮

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関西名物なのに「関東煮」?

関西にはおいしいB級グルメが多数ありますが、関西名物なのに料理名に「関東」が含まれる不思議な煮込み料理があります。それが関西名物「関東煮」です。関東煮を初めて目にすると、「これはおでんでは?」と疑問を感じる人もいます。

具も関東で見かけるおでんによく似ていますし、たっぷりの出汁に漬けて煮込んでいるところもよく似ています。そのため関東煮はおでんと同じ煮込み料理に分類されますが、おでんではありません。

起源やルーツは諸説ある

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関西では家庭でもよく食べる料理で、学校給食メニューに関東煮が出ることもよくあります。それだけ馴染みの深い関東煮ですが、何が由来なのかについては諸説あるためよくわかっていません。

もともとおでんという料理自体が田楽のことを意味しており、座敷料理の定番でした。関西では田楽のことをお座敷おでんと呼び、関西で主流の昆布出汁で温めた具に甘味噌をつけるのが一般的でした。

お座敷おでんに対して昆布出汁やクジラ肉、牛すじなどで出汁をとった別の煮物料理があり、その料理が関東煮の起源とする説があります。

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「関西おでんの逆輸入盤=関東煮」という説もあります。きっかけになったのは1923年に発生した関東大震災です。復興作業のために関東~関西間は多くの人流が起こり、その中でおでんによく似た関西の関東煮が関東へ逆輸入されます。

これによって関東のおでん屋でも関西風の薄味タイプを出したり、関東煮で定番の牛すじがおでんの具が加えられるようになったりします。ただし味付けが関東のおでんとは異なるため、関東煮の名称で提供されていたといいます。

名前の由来

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関東煮という名前の由来も、起源同様諸説あります。上方ではお座敷おでんと区別するためにあえて関東をメニュー名に加えたという説が主流ですが、大阪・天満地区では、たこの甘露煮のことを関東煮と呼んでいました。

さらにおでんを「関西風にアレンジした煮物料理=関東煮」とする説も存在します。なお「かんとだき」という呼び方から、「関西炊」とするケースもあります。

関東風おでんと関東煮は違う

見た目はおでんにそっくりな関東煮ですが、「関東風おでん=関東煮」ではありません。レシピも関東煮はおでんと違いますし、具も関東煮に欠かせない具があります。

味付けの違い

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関東煮の特徴は、出汁の味つけでよくわかります。そもそも関東煮が生まれた関西では昆布出汁を使ったうす味がおいしいとされてきました。昆布出汁が関西で多く使われる理由は、古くから上質な昆布が手に入りやすかったからです。

昆布の産地から運ばれてくる大量の乾燥昆布は、大阪の昆布問屋を介して江戸や地方に送られました。ただし上質な昆布は問屋が集まる大阪でほぼ消費されるため、江戸や地方に出荷される昆布は収穫量が多い昆布ばかりでした。

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さらに関西の水は軟水が多いため、昆布出汁が出やすい水質であったことも関係します。これに対して江戸を含む関東は「おいしい昆布が手に入りにくい」「昆布出汁が出にくい硬水である」など理由で、風味がよく出汁が出やすいかつお出汁が主流になります。

また江戸の庶民は濃い味付けを好む傾向があったため、関東の料理はしょうゆ味ベースの出汁でも濃い味付けにするのが特徴です。この傾向は関東煮と関東風おでんにも表れているため、どちらもおいしい料理なのですが、味付けには大きな違いがあります。

具材の違い

関東煮には、関東風おでんにない具があります。それが「さえずり」と呼ばれる関東煮特有の具です。さえずりはくじらの舌のことで、関東煮の老舗店が具に使ったことで定番の具になったといわれています。

さえずりという名称を付けたのも関東煮老舗店の初代店主で、食べている時にくちゃくちゃという音がすることに由来します。また牛すじとたこを具に使うのも関東煮の特徴です。牛すじは関西を含む西日本でよく食べられる食材で、串に刺して煮ます。

関東でも牛すじを使った料理はありますが、牛すじ煮込みのように串に刺さず濃い味付けで煮込むのが一般的です。

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ちなみに関東風おでんは「濃いめに味付けした出汁が具にしっかりとしみこんでいるのがおいしい」とされるので、味がしみこみやすい食材を多く使います。

特に動物性出汁を使う関東風おでんでは、すり身やちくわのような魚介系で出汁が出やすい練り物の具が多いです。味がしみこんだはんぺんやちくわぶは関東風おでんの定番ですが、関東煮では使用しない具材です。

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おでんは冬になるとコンビニで必ず売り出される人気商品です。おでんの出汁は関東と関西とでは味が違い、コンビニのおでんは具がよく見えるように関西風の薄い色の出汁を使っています。おでんの出汁の作り方は、自分のキッチンで作れる簡単なものです。

簡単おいしい!関東煮のおすすめレシピ

関東煮はおでんによく似ていますが、レシピはおでんと違います。とはいえ関東煮もレシピのポイントがわかれば、自宅でも簡単に作ることができるのでおすすめです。関東煮は関東おでんと比べてあっさりした味の出汁が特徴にあります。

本来は昆布出汁をベースにかつお節やさば節で出汁を取るのですが、昆布出汁は出汁を取るのに時間がかかるので、簡単に出汁がとれるかつお節とさば節の合わせ出汁がおすすめです。

しっかりと風味をきかせた出汁に、甘めのしょう油味にするのが関東煮の味付けなので、出汁には酒・砂糖・しょう油を加えてください。なお関東煮は見た目も重要なので、具に色がつきにくいうすくちしょう油を使うのがおすすめポイントです。

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あとはお好みの具を下ごしらえして関東煮の出汁でじっくり煮込めば完成します。関東煮ではさえずり、たこ、牛すじを入れるのが定番ですが、手に入らない場合はたまごや厚揚げ豆腐、旬の野菜を使ってもOKです。

甘めの出汁が関東煮レシピの特徴なので、旬のタマネギを丸ごと1個具にするのもおすすめです。ただし本場・関西ではちくわぶやはんぺんを使わないので、関東煮を作る際にはちくわぶとはんぺんを具から外すしましょう。

関東煮の人気店 3選

本場・関西の関東煮を食べるなら、地元でも有名な関東煮の名店を巡ってみるのはいかがですか?地元客にも愛される関東煮・名店の味がわかれば、自宅で関東煮を手作りする際の参考にもなるでしょう。

「上田温酒場」

気軽に関西名物・関東煮が食べられる上田温酒場は、最寄り駅である野田坂阪神駅・野田駅、海老江駅からいずれも徒歩10分圏内の駅近店舗です。

1936年にオープンした関東煮の老舗店で、先代から引き継がれた追い足し出汁がおいしいと地元客にも人気があります。リーズナブルな価格も人気で、1人でも気軽に関東煮が楽しめるところもおすすめです。

上田温酒場の関東煮の出汁は関東おでんを思わせるような濃いめの色をしていますが、味はあっさりしています。なお関東煮がメインですが、来店客の多くは関東煮と一緒に大阪名物・どて焼きを注文します。

名称 上田温酒場
住所 大阪府大阪市福島区大関2-11-4

「たこ梅」

創業から170年以上の歴史を誇る日本一古いおでん屋・たこ梅は、関東煮とたこ甘露煮が名物の店舗です。関東煮特有の具であるさえずりはたこ梅の初代店主が考案したレシピで、今でもたこ梅の人気メニューになっています。

たこ梅に来店する客のほとんどが関東煮と一緒に注文するたこ甘露煮も、創業当初から変わらない味が人気です。

関東煮の具としてもたこは人気ですが、たこ梅・たこ甘露煮は専用の伝統出汁を使用してじっくり煮込んでいます。ちなみたこ梅の屋号に「たこ」が使われているのは、名物メニューにたこ甘露煮があるからではありません。

関西では江戸~明治にかけて、コの字型をしたカウンター形式の店舗を「たこ」と呼んでいました。そのためカウンター席が主流の老舗・たこ梅の屋号には「たこ」が使われています。

名称 たこ梅本店
住所 大阪府大阪市中央区道頓堀1-1-8

「のんきや」

新今宮駅から徒歩5分の駅近店舗・のんきやは、1人でも気軽に立ち寄れる立ち飲みスタイルの関東煮名店です。のんきやは朝8時がオープン時間なので、夜を待たなくても関東煮が食べられます。

出汁は関東煮の特徴であるあっさり系ですが、のんきやではタマネギを使って甘みを出しているのが特徴です。基本的にシンプルなメニューですが、見た目とは違い「深みのある出汁のきいた具がおいしい」と人気があります。

名称 のんきや
住所 大阪府大阪市浪速区恵美須東3-4-5

おでんと似ているようで違う関東煮

おすすめの関西名物・関東煮は、関東で人気のおでんとはレシピや起源が違います。だからこそ「関東風おでん」ではなく「関東煮」といいます。

そんな関東煮は、レシピの基本がわかれば手作りも可能です。具も手に入りやすい食材が多いので、おうちごはんのレシピに悩んだら関東煮にチャレンジしてはいかがですか?

※ご紹介した商品やサービスは地域や店舗、季節、販売期間等によって取り扱いがない場合や、価格が異なることがあります。

akemi
ライター

akemi

小学生の娘の子育てに格闘しつつも、毎日の暮らしがちょっぴり楽しくなることを探すのが趣味です。仕事で全国各地をまわった経験から、街で見かけたおもしろいこと、ステキな景色、珍しいグルメなどを紹介します。

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