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生薬としても馴染みが深い「甘草」
「甘草湯」「大黄甘草湯」など体調不良の際に処方される漢方薬の原料としてよく使われる甘草は、マメ科に属する多年草のことです。古くから甘草は生薬として使われていて、根また根茎を乾燥させて使います。
甘草はマメ科甘草属に分類される薬用植物で、甘草属に分類される植物は現時点で18種類あります。その中でも日本でよく使われているのは「ウラル甘草」と「スペイン甘草」です。
ウラル甘草とスペイン甘草は、どちらも薬草植物として日本で有名です。使い方はさまざまなですが、主に生薬として使う場合は根または根茎を使います。マメ科植物なのでさやができますが、さやの形は特徴的です。ウラル甘草のさやは、ほとんどが大きく湾曲しています。
しかもさや全体に線毛が密集していることも、ウラル甘草の特徴です。スペイン甘草のさやは基本的にまっすぐな形をしています。ウラル甘草のように線毛はなく、時折やわらかい毛が生える程度です。
花の色にも若干の違いがあります。ウラル甘草は淡い紫色の花ですが、スペイン甘草は淡い青色の花です。ただし密集して花をつける点では、ウラル甘草・スペイン甘草ともに共通しています。
このように日本でよく使われる2種類の甘草も、生薬の原料となるまでには形状や花の色に違いがあります。ただし含有成分がほぼ同じなので、生薬としての使い方は基本的に同じです。
食品や飲料の甘味料としても大活躍
薬用植物として有名な甘草ですが、生薬の原料以外にもさまざまな使い方があります。中でも食品や飲み物の原料に使われることが多いです。食品として使われるのは、甘草に甘み成分が含まれていることが関係します。
甘草属の植物は地中海沿岸地方、ロシア(主に南部)、中国(主に北部)、北アメリカ、中央アジアなどで自生する植物なので、もともと日本にあった植物ではありません。
世界各国で人気の甘草は奈良時代に日本へ伝わったのですが、当時の甘草は「珍しい生薬」として扱われていました。このように移入当初の甘草は貴重な生薬でしたが、他国と交流していく中で甘草の栽培法が伝わると、甘味料として広く使われるようになります。
特に江戸時代には甘味料としての需要が高く、幕府が農民に甘草栽培を命じていたほどです。明治時代になると安く手に入る砂糖の輸入が始まったため甘草農家も少なくなりましたが、甘味料として食品や飲み物の原料に含む使い方は今でも続いています。
甘草ってどんなスパイス?
江戸時代には日本でも積極的に栽培されてきた植物・甘草は、別名「和ハーブ」とも言われています。日本でも生薬や甘味料として使われてきた甘草ですが、香りに特徴があるため、食品用の調味料としての使い方も有名です。
歴史のある薬膳生薬
中国との交流によって早くからさまざまな文化が中国から移入されてきた日本では、中国医学の基本である「医食同源」という考え方が早くから取り入れられてきました。
食品や飲み物から「気」を取り込むことで、本来持っている人間の「気」のパワーが高まると考える医食同源では、さまざまな薬用植物を積極的に取り入れた薬膳料理が有名です。
特に甘草は独特の甘みを持つ薬用植物なので、甘味料として薬膳料理で重宝されてきました。現在では食品や飲み物の甘味料・調味料としてよく使われる甘草ですが、歴史でいえば、食事で体の調子を整える薬膳料理としての使い方が長いです。
後引きの強い甘味と特有の風味が特徴
日本でも庶民の間で広く使われていたおすすめ食材・甘草は、甘みと風味の個性が強いのが特徴です。時代によっては国策として栽培が命じられていた甘草は、長時間甘みが持続することも「万能甘味料」として重宝されていた理由にあります。
ところが可食部である根や根茎からは、甘味料の原料になるとは思えない独特の香りがします。香りの特徴については「薬草特有の香り」と表現されるのが一般的です。
甘草の「薬草特有の香り」は具体的に説明するのが難しいので、ほとんどの紹介文では「甘草の香りは直接においをかいでみるのがおすすめ」と書かれています。
ちなみに甘草のように「薬草特有の香り」と表現される植物には、ドクダミ、アシタバ、ヨモギなどがあります。それぞれ香りの性質はまったく違いますが、「薬草っぽいにおいがする」と表現される点では甘草も含め共通します。
甘さは砂糖の約200倍
名称に「甘」が使われていることからもわかるように、甘草には甘み成分が含まれています。18種類ある甘草属の植物はいずれも根および根茎に甘み成分が含まれていますが、香りは薬草っぽさが強いのが共通した特徴です。
そのため甘味料として根および根茎を使用する場合も、そのあっまではなく加工したものを使用します。加工は「乾燥させたものを粉砕する」と「水で甘み成分を抽出する」があります。
このような方法で作られる甘味料・甘草抽出物は、「グリチルリチン」「甘草エキス」「リコリス抽出物」などの名称で呼ばれます。甘草抽出物を食品に使用する場合は主に甘味料として使いますが、甘味度数は一般的な砂糖の約200倍にあたります。
砂糖の約200倍もの甘みの元となる甘草抽出物ですが、甘みを感じるタイミングおよび持続時間が一般的な砂糖と大きく異なるのが特徴です。一般的な砂糖は口に入れた瞬間すぐに甘みのピークを迎えますが、ピーク以降急激に甘みが減少します。
これに対して甘味抽出物は緩やかに甘味度が上がるので、甘さのピークも一般的な砂糖よりもなり遅れて到達します。ピーク後も緩やかに甘みが減少するため、長時間甘さを感じられるところが一般的な砂糖との大きな違いです。
そのため200倍も強い甘みを持つ甘草抽出物ですが、幅広いジャンルの食品・飲み物の甘味料として根強い人気があります。
日本で使われる甘草はほぼ輸入品
明治時代初頭までは日本でも「甘草農家」が各地に存在していましたが、安価な砂糖の輸入が主流になると、庶民が使う甘味料としての使い方はほとんどなくなります。もちろん現在でも飲み物を含む食品類に多数使われている甘草ですが、そのほとんどが輸入品です。
かつて甘草栽培の産地として有名だった山梨県でも、甘草栽培はほとんどみられません。ただし山梨県にはかつて甘草栽培が盛んだったことを示す貴重な建物として、別名「甘草屋敷」と呼ばれた旧高野家住宅が今でも残されています。
甘草はどんなものに使われてるの?
調味料・甘味料としての使い方も人気の甘草は、食品や飲み物以外にもさまざまな使い方ができるおすすめアイテムです。
味噌や醤油の調味料に
日本伝統の調味料である味噌や醤油にも、甘草抽出物を使用しています。味噌・醤油に使われる甘草抽出物は「グリチルリチン酸ニナトリウム」と呼ばれる食品添加物で、甘草抽出物をナトリウム化させた合成化合物です。
味噌と醤油は長期保存するために塩分を多く使用しますが、そのことによって熟成中に塩辛くなるデメリットがあります。そこで緩やかに甘み成分が強まり、ピーク後も効果が長く持続する甘草を使うことで、塩味を抑え風味をアップさせることができます。
なお味噌・醤油に使われる甘草抽出物・グリチルリチン酸ニナトリウムは厳しい使用基準があるため、現時点では味噌・醤油にしか使用が認められていません。
清涼飲料水や乳製品などの飲み物に
グリチルリチン酸ニナトリウムの使用は厳しく制限されていますが、甘草抽出物にはブドウ糖やショ糖などが含まれているので、飲み物の甘味料としておすすめです。
ただし独特な香りがするため、ほぼ加工していない甘草をそのまま飲み物にした場合は好みが大きく分かれます。その代わり低カロリーな甘味料として欧米では古くから注目され、ソフトドリンクやリキュールの原料として人気があります。
アメリカで人気のソフトドリンク・ルートビアも、甘草を原料に使用した定番のソフトドリンクです。18世紀のアメリカの農家などで自家醸造された低アルコールハーブ飲料を、薬剤師が独自の調合によって改良されたものがルートビアの原型といわれています。
甘草はアメリカでも古くから人気の薬草成分でしたし、低カロリーな甘味料としても注目されていたことも原材料に含められた背景にあるのでしょう。ちなみにルートビアの味は「薬草っぽい」と表現されることが多く、甘草の香りの特徴と共通しています。
化粧品やシャンプーなどの日用製品に
甘草抽出物に含まれるグリチルリチン成分は、肌トラブルで悩む人用の化粧品やシャンプーなどに使われることも多いです。食用の場合は根および根茎を使いますが、肌トラブル用の化粧品・シャンプーなどには甘草葉の抽出物を使用することもあります。
食用の場合はウラル甘草とスペイン甘草を使うことがほとんどですが、日用品の場合はスペイン甘草の抽出物を使用することが多いです。なおスペイン甘草の抽出物には保湿成分が多く含まれるため、乾燥による肌トラブルで悩む人でも安心して使える点がおすすめです。
摂りすぎると危険!甘草には副作用がある?
甘草抽出液は食品添加物や日用品の原料などさまざまな使い方ができるおすすめアイテムですが、食用として利用する場合には摂取量に注意が必要です。
グリチルリチン酸の過剰摂取
甘草の生薬成分は主に根に存在します。根に多く含まれるグリチルリチン酸は甘味料としておすすめの成分なのですが、グリチルリチン酸を過剰摂取すると体の不調を引き起こす危険があります。
そのため甘草を使用した漢方薬では1日の摂取量をきちんと守ることが重要で、処方の際にも摂取許容量の範囲で製剤するのが常識です。
なお飲み物や食品には甘草抽出物を調味料・甘味料として使ったおすすめ商品も多いで、「どれくらい摂取すると人体に影響が出るか」が不安な人も多いでしょう。
ところが食品添加物として使用されている食品類(飲み物を含む)は、摂取量を気にしなくても安全面に問題がないことが調査によってわかっています。
調査をしたのは厚生労働省で、平成27年(2015年)の調査結果によると健康被害の懸念が出てくるのは1日の摂取量が0.368mgを超えた場合です。市販されている甘草抽出物入り食品・飲み物を喫食しても、上限を超える心配がないため「問題なし」とされています。
なおグリチルリチン酸ニナトリウムを使用している味噌・醤油は、使用料の上限が厳しく決められているので、毎日使用しても健康面に問題はありません。
甘草のおすすめの使い方
スーパーで市販されているさまざな食品・飲料水・日用品の原料に使われているおすすめアイテム・甘草ですが、そのほとんどが抽出液として加工されたものを使用しています。かつては日本でも栽培が盛んだった甘草ですが、今ではほとんど見かけなくなりました。
そんな甘草ですが生薬として使われるほど人気があるので、「体にやさしいハーブ」として積極的に取り入れている人も多いです。
ハーブ専門店に行けば使いやすいように加工された甘草が手に入りますし、使い方に併せておすすめの甘草アイテムを紹介してもらうこともできます。さらに通販サイトでお取り寄せも可能です。そこで調味料やハーブとしておすすめの使い方を2点ご紹介しましょう。
ハーブティーとして
甘草は「体に良いハーブ」として世界中で使われてきた歴史があります。そのためハーブティーにする使い方も人気です。独特の甘みがありますが香りが薬草っぽいので、においが気になる場合があります。
とはいえ甘みはあっても低カロリーなのでダイエット中にもおすすめですし、ノンカフェインなので就寝前でも安心して飲めるところがおすすめです。においが気になる場合はお好みのハーブとブレンドしたり、冷やして飲んだりすると飲みやすくなります。
カレー粉として
甘みの強さから甘味料として注目されることが多いですが、甘さだけでなくほんのり苦みもあるので、調味料としての使い方もおすすめです。ただし甘草は単独で使う調味料ではなく別の調味料と一緒に使うことで、相乗効果を発揮するちょっと変わった特徴を持っています。
特に甘草を他の調味料と一緒に使うと、塩慣れ効果によって角が取れたまろやかな塩味に仕上げることができます。しかも時間がたつほど味に深みが出るのも、甘草を調味料として使ったときのおすすめポイントです。
そこでこの特徴を最大限に活かした使い方としておすすめなのが、「カレー粉にする」という使い方です。カレーは今や日本人の国民食なので、市販されているカレールーを使っても本格的なカレーが作れます。
そんな市販のカレールーに甘草をカレー粉として加えるだけで、甘みと旨味が調和したワンランク上の極上カレーが出来上がります。
甘草は日本人にも身近なスパイス
さまざまな漢方薬に使われる甘草ですが、味噌・醤油の原料や飲み物の甘味料・調味料として使われる身近な食品です。
しかも甘草は入浴剤・シャンプー・化粧品など日用品の原料としても使われるので、万能なアイテムといえます。ただし食品として甘草を使用する場合は、使い過ぎに注意をしましょう。
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