奈良の秋と言えば紅葉！見頃やおすすめコース・穴場を教えます

数々の歴史遺産や文化遺産を持つ古都・奈良は、秋になると美しい紅葉を楽しめるスポットです。美しい日本庭園を持つ寺院や古都・奈良の各地を彩る紅葉は古都・奈良の風情ある雰囲気をより盛り上げます。今回は秋に紅葉の見頃を迎える奈良のおすすめスポット、穴場をご紹介していきます。

一般的に紅葉は秋に見頃を迎えますが、奈良でも10月上旬から11月中旬、場所によっては12月中旬まで見頃となります。奈良の中心地に広がる奈良公園では、川沿いの遊歩道や奈良の鹿が歩く公園を色とりどりの紅葉が彩ります。イチョウやモミジ、ブナなど見頃を迎える紅葉の種類も様々です。

それではまず、秋に紅葉の見頃を迎える奈良の定番紅葉スポットをご紹介します。奈良有数の古刹と美しい紅葉のコラボレーションを楽しめるおすすめスポットや、秋は美しい紅葉、春には川沿いと山の半分を占める桜によって移りゆく四季を感じられるスポットをまとめました。

竜田川に沿うように造られている「奈良県立竜田公園」は、昔から「嵐ふく 三室の山の もみじ葉は たつ田の川の 錦なりけり」と詠われてきた紅葉の名所です。竜田川沿いに桜と紅葉が植えられており、秋になると川沿いが真っ赤に染まります。見頃を迎えた紅葉が川面に映る様子も見どころです。

奈良県立竜田公園の紅葉は、例年11月12月上旬にかけて見頃を迎えます。イロハモミジ、ヤマモミジを中心にカエデを含めた木々が植えられており、12月の上旬には「竜田川紅葉まつり」も開催されます。ただ川沿いを歩くだけでも紅葉を楽しめるおすすめの紅葉スポットです。

奈良県立竜田公園は平安の頃から人々に親しまれ、歌に詠まれてきた奈良でも随一の紅葉スポットです。竜田川に架けられた赤い橋との色のコントラストも美しく、絶好の写真撮影スポットでもあります。古都・奈良の秋を彩る美しい紅葉をぜひお楽しみください。

紅葉の名所として親しまれている奈良県立竜田公園ですが、モミジやカエデに加えて桜の木も多く植えられていることから春には満開の桜が見頃を迎えます。川沿いを彩る桜はもちろん、竜田公園から見える三室山の半分は満開の桜に覆われており、絶景を楽しめます。

奈良県立竜田公園の桜は3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えます。竜田川の川沿いを彩る桜と三室山を覆う桜の両方が視界に入る絶好のスポットで、ぜひ満開の桜をお楽しみください。目に入る景色の半分以上が桜を占める風景は、奈良全域でもあまり見られない貴重なスポットです。

大化の改新についての歴史的話し合いが行われたという伝承が残る「談山（たんざん）神社」は桜と紅葉の名所として知られる神社で、御祭神として藤原鎌足公が祀られています。本殿と木造の十三重塔が重要文化財に指定されているほか、絹本著色大威徳明王像などの美術文化財が置かれています。

談山神社には約3000本の木々が植えられており、秋になると紅葉の見頃を迎えます。赤や黄に色づいた木々が十三重塔や本殿を彩り、美しい日本寺院と紅葉の両方を楽しむことができます。紅葉の見頃を迎えた談山神社は「関西の日光」と称されるほどの美しさです。ぜひお楽しみください。

談山神社の紅葉は11月中旬から12月上旬に見頃を迎えます。一番の見頃を迎える11月下旬からは紅葉が美しくライトアップされるため、談山神社で夜の紅葉を楽しむのもおすすめです。奈良でも上位の美しさを誇る談山神社は石段が少ない参拝コースもあり、世代を問わずおすすめのスポットです。

談山神社の紅葉が見頃を迎える11月の中旬には、談山神社でも重要なイベントである「例大祭」が執り行われます。御祭神・藤原鎌足公の命日にあたる11月17日に本殿石の間で舞楽が奉納される例大祭は美しい紅葉に合わせて楽しむことができるため、奈良観光に合わせてお立ち寄りください。

奈良を代表する観光名所として知られる「奈良公園」は奈興福寺、東大寺、春日大社、奈良国立博物館良公園を含めると総面積600haにも及ぶ広大な都市公園です。奈良公園内には約1200頭の鹿が生息し、数々の国宝や重要文化財が点在することもあり、国内外から多くの観光客が訪れます。

数々の寺院や観光施設が点在する奈良公園は桜やイチョウ、モミジなどの木々が秋になると美しく紅葉するおすすめスポットです。広大な範囲に様々な種類の木々が植えられているため、奈良公園では10月中旬から紅葉の見頃を迎えるスポットもあります。常緑樹とのコントラストが美しい地です。

奈良公園内には有名な寺社を含め、数多くのおすすめ紅葉スポットが点在しています。「春日大社」周辺には主にモミジが植えられており、鹿が歩く参道を美しい深紅に染め上げます。東大寺大仏殿の大仏池周辺は赤や黄、オレンジなど様々な色の紅葉で彩られ、より一層の美しさを楽しめます。

奈良公園の紅葉をおすすめする理由の一つに、美しい紅葉と鹿を一枚の写真に収めることができるという点があります。オレンジや赤・黄色に染まった地面を歩く鹿や紅葉を眺めているかのような鹿、朝や雨上がりの靄にかすむ紅葉の中を歩く鹿など、美しい写真を撮ることができるスポットです。

四季折々の花々が境内を彩る花の寺として知られる「長岳寺」は、9世紀に淳和天皇の勅願により弘法大師が建立した長い歴史を持つ古刹です。平戸つつじが美しく咲く名所としても有名で、4月下旬から5月上旬には玉砂利に沿って植わる約1000本の平戸つつじが境内一面を美しく染め上げます。

長い歴史を持つ長岳寺には、数多くの文化財が残されています。浄土式の庭園の前に建つ本堂や、弘法大師による寺の創建当時から残る日本最古の鐘楼門など、重要文化財に指定された建築物、阿弥陀三尊や増長天・多聞天、古墳の石材を利用して作られた弥勒大石棺仏などの文化財があります。

平戸つつじやカキツバタなど四季折々の花々が咲くことで知られる長岳寺は、11月中旬から下旬にかけてモミジやカエデの葉が色づき、紅葉の見頃を迎えます。長岳寺の紅葉は紅葉名所100選にも選出されており、鎌倉時代中期に作られた沙石集にも長岳寺の紅葉の美しさが詠われています。

長岳寺の紅葉は、本堂の前に広がる浄土式庭園でその美しさを最も楽しめます。水面に映る紅葉の美しさや日に透けて輝く木の葉の美しさを楽しみましょう。紅葉が見頃を迎える時期には、住職による大地獄絵のコミカルな絵解き説法も行われます。奈良観光に合わせてお立ち寄りください。

4月下旬から5月上旬にかけて約7000株の牡丹が花を咲かせる「長谷寺」は、8世紀頃に創建されたと考えられる奈良の古刹です。古来より「花の御寺」として親しまれており、枕草子や源氏物語、更級日記などの古来より伝わる書籍にも、その花の美しさや情緒ある景色について記されています。

奈良の古刹・長谷寺では1年を通して様々な花を楽しめる他伝統的なまつりが開催されています。松明を持った鬼が暴れまわる「だだおし法要」、4月中旬から5月上旬にかけての「ぼたん祭り」、参道に数多くの燈明が置かれる「観音万燈会」など全国に名が知られるまつりが多くあります。

四季を通じて様々な花を楽しめる長谷寺では、11月中旬から12月上旬にかけて美しい紅葉を楽しめます。本堂の舞台から、真紅の紅葉に彩られた五重塔が眺められます。日が当たる場所の違いによって奈良県内でも比較的長い期間紅葉を楽しむことができる、おすすめの場所が長谷寺です。

緑から黄、赤と少しずつ色を変えていく紅葉のグラデーションは、長谷寺だからこそ見られる美しい風景です。紅葉が見頃を迎える頃には本尊大観音尊像の特別拝観が行われます。長谷寺に納められている宝物を無料公開する秋季特別寺宝展も開催されます。紅葉狩りに合わせて楽しみましょう。

続いて、奈良で美しい紅葉を楽しめるおすすめの穴場スポットをご紹介していきます。古刹にある浄土式庭園の水面に映る紅葉が美しい穴場スポットや、貴重な原生林が広がり、四季折々の自然を楽しめる山の穴場紅葉スポットなど、奈良でおすすめしたい穴場をまとめました。

楼門前に広がる美しい庭園が知られる「円成寺（えんじょうじ）」は、天平勝宝8年に聖武上皇・孝謙天皇の勅願で建てられたと伝わる奈良の古刹です。美しい庭園は平安時代末期の寛遍上人の頃に造園されたと考えられており、庭園の構成も情景も見事な浄土式庭園として知られています。

円成寺には鎌倉時代から守られてきた数多くの重要文化財が残されています。奈良県内で最も古く最大の規模を誇る「五輪塔」や薬師・釈迦・阿弥陀・弥勒の四仏の種子が彫られている「十三重石塔」、1550年の銘が彫られた歴史ある「本堂西石仏」など、歴史ある見どころが満載です。

美しい庭園が評判の円成寺では、10月下旬から11月下旬にかけて美しい紅葉を楽しむことができます。桜門を彩る真紅の紅葉が見ものですが、庭園の湖面に映る紅葉は非常に風情があり、奈良県内でも穴場の紅葉スポットとして人気を集めています。知る人ぞ知る穴場をぜひお楽しみください！

奈良で登山をしながら美しい紅葉を楽しむことができる穴場「大台ヶ原」は、紅葉の時期以外にも多くの登山客で賑わうおすすめスポットです。奈良と三重の県境にある大台ヶ原は近畿地方で登山を楽しむ人々のメッカとしても知られ、トウヒやブナが育つ見事な原生林も広がっています。

大台ヶ原は年間の降水量3500mmという、世界でも有数の降水量を誇る地でもあります。この膨大な雨は大台ヶ原で育つ動植物にとって理想な環境を作り出しており、秋の美しい紅葉を含め、1年を通して楽しむことができる価値の高い壮大な規模と美しさを誇る原生林を生み出しています。

​​​​穴場の紅葉スポット・大台ヶ原では10月中旬から下旬にかけて紅葉のピークを迎えます。ブナやミズナラ、シロヤシオやナナカマドなど秋になると葉の色を変える木々の種類も様々で、赤や黄色、オレンジはもちろんワインレッドのような濃く美しい紅葉が一面を覆う様子を見ることもできます。

大台ヶ原の穴場絶景ポイント「大蛇ぐら」では、息を飲むような紅葉の絶景を楽しめます。大蛇ぐらは頭を上げた蛇のような形をした巨石で、展望岩の下は高低差1000mの断崖絶壁になったスリル満点のスポットでもあります。赤や黄、オレンジの葉で埋められた巨岩は圧巻の美しさです。

大台ヶ原のもう一つの穴場スポット「正木峠」では赤や黄、オレンジに紅葉した木々が作る紅葉のトンネルの中を歩くことができます。奈良全域を見てもここでしか体験できない美しい紅葉で、まるで日本ではないような風景を楽しむことができる、穴場のおすすめ紅葉スポットです。

大台ヶ原は紅葉の時期以外にも自然の美しさを堪能できるおすすめの穴場スポットです。5月中旬から6月初旬にかけて楽しめるシオカラ谷のシャクナゲトンネルや、7月から8月にかけて見頃を迎えるバイケイソウの白い花など、大台ヶ原の環境だからこそ見られる景色が多くあります。

最後にご紹介する奈良の穴場紅葉スポット「名勝依水園」は、国の名勝に指定されている美しい日本庭園です。四季の移ろいを大切にするという日本人の心を大切にした庭園で、園内にある2つの庭園はそれぞれ江戸時代と明治期の異なる時代に造られました。四季折々の美しさが楽しめます。

江戸時代に作られた「前園」は静かに吹く風や草葉のこすれる音を楽しむことができる「静寂の庭園」で、庭園の中ほどに置かれた池には鶴亀をイメージして配された中島や灯篭があります。ここには前園の風景を楽しみながら食事や抹茶などの喫茶を楽しめる「三秀亭」も置かれています。

明治期に作られた「後園」は前園とは異なる築山式の庭園で、秋には緑から色を変えた築山の情景を楽しむことができます。後園ははるか彼方に聳える若草山や春日奥山、御蓋山、東大寺の南大門を借景に造られた庭園で、その規模の大きさと庭園を手掛けた作庭者の構想の大きさに圧倒されます。

後園には庭園を眺めながら抹茶を楽しめる「氷心亭」や、国の重要文化財に指定されている茶室「清秀庵」、円窓が印象的な「挺秀軒」などの建築物が置かれています。後園の風情ある四季折々の景色に溶け込む建築物の様子もぜひお楽しみください。

名勝依水園では11月中旬から下旬にかけて、前園と後園で異なる紅葉の景色を楽しめます。ぜひ奈良観光に合わせてお立ち寄りください。

それでは、秋の奈良で美しい紅葉を楽しめるおすすめのコースをご紹介します。まずは古都・奈良で寺や仏閣と紅葉の両方を楽しむことができるコースをまとめました。比較的自由にプランを組んで巡ることができるコースとなっているため、好みに合わせて奈良の街並みを楽しみましょう！

古都奈良には、世界に名を知らしめる数多くの古刹や名寺院があります。奈良の魅力を紅葉と一緒に楽しみたい方は、東大寺から興福寺に向かうコースを選びましょう。東大寺は奈良公園の一部に含まれて説明されることもあるほど近いため、古刹と紅葉を共に楽しむコースとしておすすめです。

東大寺で庭園を彩る美しい紅葉に癒された後は奈良公園を巡りましょう。広大な敷地面積を誇る奈良公園には数多くの古刹が点在しています。秋の紅葉の時期には特に、歩いてコースを巡るのがおすすめです。奈良の街並みを彩る紅葉と気ままに歩く鹿ののんびりとした風景を楽しみましょう。

奈良公園の散策コースの最後には興福寺に立ち寄りましょう。常緑樹と赤や黄に色を変えた木々の生み出す色のコントラストは美しく、五重塔を含めた景色は息をのむほどの美しさです。人も少ない早朝には朝もやの中で静かに佇む建築物と紅葉の美しい景色を楽しむことができます。

東大寺から奈良公園を巡って興福寺で終わるコースは、比較的自由にプランを組むことができるおすすめのコースです。奈良公園は広大なため、気になるスポットをあらかじめチェックしておいてからコースを回ると、より古都・奈良の美しい建築物と紅葉の両方を満喫することができます。

続いて、奈良の自然と一緒に美しい紅葉を楽しみたい方におすすめのコースをご紹介していきます。ここでご紹介するコースは車が必要となりますが、奈良の大自然をしっかりと満喫することができるおすすめのコースです。紅葉と常緑樹の美しい色のコントラストを楽しみましょう。

紅葉に合わせて奈良の自然を満喫したい方は「谷瀬の吊り橋」からコースを始めましょう。視界を遮るものが一切ない高さ54m・長さ297mの日本一長いつり橋谷瀬の吊り橋は、実際に吊り橋を渡りながら周囲の紅葉と美しい自然、そして青空を楽しむことができるおすすめのスポットです。

谷瀬の吊り橋で自然と紅葉を満喫した後は車で1時間の場所にある「笹の滝」へ向かいましょう。笹の滝では落差23mの神秘の滝を楽しめます。静寂の中に滝が落ちる轟音が鳴り響く様子は圧巻で、紅葉の時期には赤や黄色に染まった中へ滝が落ちていく様子を眺められる絶景の穴場スポットです。

笹の滝で紅葉の美しさと自然の壮大さに圧倒された後は、車に1時間ほど乗って「昴の郷」へ向かいましょう。昴の郷では広大な里山の自然を楽しむことができます。遊歩道沿いに植えられたモミジやイチョウが色づくと美しい紅葉の道となり、常緑樹との色のコントラストが鮮やかです。

それでは最後に、奈良の紅葉を子供と一緒に楽しみたい方におすすめのコースをご紹介します。奈良には、子供も大人も一緒になって楽しむことのできる、工作体験を提供するスポットが多くあります。紅葉も一緒に楽しめてしまう、子供も大人も満足できるスポットをまとめました。

子供と一緒に巡る紅葉の旅では木工作品の製作体験や陶芸体験、手すき和紙体験を楽しむことができる「木工館」からコースを始めましょう。モミジやイチョウなどが植えられているため、工作体験を楽しみながら紅葉を満喫することができます。木工館の後は鍋倉渓へ向かいましょう。

「鍋倉渓」は大小の巨岩が作り出す風景がまるで天の川のようだと言われているスポットで、子供と一緒に紅葉の風景を楽しみながらアスレチック気分で遊びを楽しむことができます。紅葉の時期の鍋倉渓も美しいですが、8月上旬から8月中旬にかけてのライトアップされた風景も幻想的です。

鍋倉渓での紅葉を楽しんだ後は「羊毛館」に向かいましょう。羊毛館は羊の毛を洗って染色することから体験できる、子供に人気の施設で、自分だけのオリジナル羊毛ストラップやマスコットを作ることができます。自然に囲まれた羊毛館は秋には美しい紅葉を楽しめる穴場スポットでもあります。

以上、日本を代表する観光地である古都・奈良でおすすめの紅葉スポットをご紹介しました。数々の名刹や公園がある奈良では、昔ながらの日本らしい風景と紅葉を同時に楽しめるスポットが数多くあります。平安の昔から親しまれてきた紅葉を、ぜひ現代の奈良でお楽しみください。