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世界第4位の臭い食べ物「キビヤック」は発酵食品
キビヤックは世界第4位の臭い食べ物として知られています。世界1位はいわずもがな、スウェーデンの食べ物で、ニシンの塩漬けを発酵させた「シュールストレミング」です。2位には韓国のホンオフェ、3位にはニュージーランドのエピキュアーチーズがランクインしています。
日本では「もやしもん」に登場したことから、キビヤックが知られるようになったという声もあります。アニメの第1話から登場したキビヤックは、その作られ方や食べ方に衝撃を受けた人も多かったようです。
今回ご紹介するキビヤックは世界第4位の臭い食べ物です。キビヤックの臭いはもちろん、見た目や食べ方も衝撃的です。今回は世界第4位の衝撃的な食べ物、キビヤックについて詳しくご紹介していきます。
キビヤックってどんな食べ物?
「キビヤック」と聞いてもどのような食べ物なのか、見た目の想像がつきません。限られた民族の中ではご馳走として振る舞われるキビヤックですが、日本では知名度も低く、輸入店などで見かけることもありません。
世界第4位の刺激臭を放つキビヤックがどのような食べ物なのか、どの地方で食べられているのかをご紹介します。気になるキビヤックの作り方も詳しくご紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
キビヤックをどうしても購入したい人や、食べてみたい人には、記事の最後にキビヤックの購入方法や、キビヤックを食べられるレストランをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
原材料は海鳥の一種アパリアスとアザラシ
キビヤックに使われるのは、アザラシとアパリアスです。アパリアスとは、海鳥の一種です。白い腹に黒い背中のアパリアスは、繁殖を目的として夏のあいだ、北極圏へと飛来します。小型の海鳥なため、網などで大量に捕獲できます。
アパリアスは1、2時間ほど獲り続ければ数百羽は獲れるといわれています。アパリアスはキビヤックのほかにも、茹でて食べる方法もあります。獲れたてのアパリアスを茹で、皮と毛をするっと取れば中のお肉が食べられます。
茹でただけのアパリアスは、旨みがたっぷりと詰まっており美味しく、皮の裏側まですすって食べられます。現地ではアパリアスもご馳走として振る舞われます。最初は生暖かいアパリアスに衝撃を受けますが、慣れてしまえばとても美味しく食べられます。
キビヤックに使われるアパリアスは、年々個体数が減っており問題視されています。絶滅の危機を感じたグリーンランド政府は、アパリアスの猟銃時期を大幅に減らしました。大幅に減らしたことによってアパリアスを獲れない年もできたようです。
アパリアスの個体数が減っている原因については分からないことも多く、報道によっては個体数に変化はないと述べているものもあるようですが、キビヤックをはじめアパリアスが特別な日に振る舞われる料理であることには変わりありません。
アザラシとアパリアスを使うといっても、その肉を炒めたり蒸したりして食べるわけではありません。ここからはキビヤックのレシピをご紹介していきます。キビヤックの作り方が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
アザラシの腹部にアパリアスを詰め込む
用意するのはアザラシ1頭と、アパリアスをおよそ数百羽です。捕まえたアパリアスは、直射日光が当たらない涼しい場所に放置し、アパリアスの身体や内臓をよく冷やします。このとき、アパリアスの内臓を傷つけないよう丁寧に扱います。
アザラシは、お腹を裂いて内臓と肉をすべて取り出します。このとき、皮下脂肪は残すようにしましょう。皮下脂肪も発酵し、キビヤックの味を作っていくエキスとなります。
作り手によっては皮下脂肪を綺麗に抜き取る場合もあります。このとき洗ったり、拭ったりする必要はありません。肉と内臓をすべて取り除き、アザラシがきれいな袋状になれば下準備の完成です。
袋状になったアザラシに、1日置いたアパリアスを詰め込んでいきます。このとき、アパリアスの毛を毟ったり、頭を折るようなことはせず、そのまま詰め込んでいきます。アパリアスの内臓を傷つけないように詰めるのがポイントです。
アザラシやアパリアスのサイズにもよりますが、多いときには700羽近くのアパリアスを詰め込むこともあります。このとき、アザラシのお腹から空気をすべて抜くようにします。空気が入っていると発酵がうまく進まず腐ってしまうのです。
すべて詰め込むことができたら、アザラシのお腹を縫い付けます。ハエがアザラシに卵を生みつけないよう「プヤ」と呼ばれる日干しされたアザラシの脂を塗ります。
2か月以上放置し熟成
アザラシに油を塗ったら、アザラシを地面に埋めるために穴を掘ります。アパリアスが詰まったアザラシを埋め終わったら、きつねなどの動物が掘り返してしまわないよう石を置いておきます。この状態のまま2か月以上放置して発酵させます。
地面に埋めるとき、太陽によって温度が上がりすぎると腐ってしまいます。腐らせずに熟成を進めるために、日除けと空気抜きを十分にしておくのがポイントです。
2か月以上、または数年間寝かせたら地面から掘り返し、アザラシの腹を再び裂いてアパリアスを取り出します。この取り出されたアパリアスこそがキビヤックであり、世界第4位の臭い食べ物でもあります。
エスキモー民族・イヌイット民族などの伝統食品
キビヤックは、アラスカ州にいるエスキモー民族や、カナダにいるイヌイット民族、グリーンランドにいるカラーリット民族が作る伝統食品です。日本人にとっては衝撃的な作り方ですが、これらの民族にとっては栄養を補える伝統食品なのです。
日本でも発酵食品として納豆や塩辛など、世界からは理解されづらい食べ物があります。しかし私たちにとっては日常的に食べるもので、栄養も取れる機能的な食事です。キビヤックも彼らにとっては栄養補給のための大切なご馳走なのです。
貴重なビタミン源の一つ
キビヤックにはビタミンが豊富に含まれています。寒く、太陽の光を浴びられない土地ではビタミン不足に陥ります。太陽の光が注がれなければ農作物もうまく育ちません。そのため、生き物からビタミンを効率的に摂取する必要があります。
アザラシの肉は、日本でも古くから食べられてきました。極寒の地でも生肉を食べることで、効率的に栄養を補給することができるのです。北極圏では現在もアザラシの身はもちろん、脂まで残すことなくいただきます。
キビヤックは発酵させることによってビタミンを生成します。またキビヤックにはミネラルも豊富に含まれています。キビヤックは寒い土地で過ごす民族にとってご馳走であるため、特別な日に食べられます。
ビタミンは熱を加えることによって失われてしまいます。キビヤックは寒い土地で、効率的にビタミンを摂取するとてもいい方法なのです。日本ではあまり知られていない食べ物ですが、現地では今も食べ続けられている伝統的な食べ物です。
キビヤックはどんな臭い?
衝撃的な作り方のキビヤックは、どのような臭いがするのでしょうか。世界第4位の臭い食べ物、キビヤックの匂いや、どの程度臭いのかについてご紹介していきます。キビヤックに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
納豆の約3倍の臭さ
臭いを表す世界共通の単位はありません。においにはさまざまな種類があり、ひとつの単位で表すことが困難だとされています。キビヤックを食べた人や、研究家の意見を参考にすると、キビヤックは納豆のおよそ3倍程度の臭いです。
納豆は、日本人には馴染みのある食べ物ですが、ねばつきはもちろん、納豆のクセのある臭いを嫌う人も少なくありません。独特な臭いのする納豆のおよそ3倍ほどの臭いがすると想像すれば、キビヤックがかなりクセのある食べ物だと想像できるでしょうか。
においを表す世界共通の単位はありませんが、「アラバスター」というにおいの濃度を測定する機械はあります。値が大きくなればなるほどにおいが強烈だということを表します。アラバスターによると、納豆は452Au、世界第4位のキビヤックは1370Auです。
ちなみに上記したくさやは、焼き立ての状態で世界第5位の1267Auです。世界第1位のシュールストレミングは8070Au、第2位のホンオフェは6230Au、第3位のエピキュアーチーズは1870Auとなっています。
塩辛をもっと強くしたような臭い
キビヤックは塩辛をもっと強くした臭いとも言われています。塩辛は、日本に古くから伝わる発酵食品のひとつです。塩辛の歴史は古く、平安時代にはすでに作られていた可能性があるといわれています。
塩辛には魚介類が使われることが一般的ですが、中でもイカの塩辛が一番人気とされています。新鮮なイカのわたをたっぷりの塩にまぶし、水分をよく抜いたあと中身を取り除き、身と合わせる珍味は世界から見れば衝撃的なものかもしれません。
キビヤックに使われるアパリアスは海鳥、アザラシも海の生物ですので磯の味がするのも納得できます。お酒のつまみや白米のお供、珍味として好まれる塩辛ですが、苦手な人も多くいます。塩辛もキビヤックと同じく発酵食品です。
手や服などに付着すると数日は臭いが取れない
キビヤックの刺激臭は、手や服などに付着すると臭いがついてしまい、数日間とれないと言われています。キビヤックを食べる際は、手に臭いがつくことを覚悟しましょう。また、キビヤックからすする汁が衣類につかないよう注意しましょう。
もしキビヤックの汁がついてしまったときは、慌てないで優しく拭き取りましょう。数日間はキビヤックのにおいがつきまといますが、決してにおいがとれないわけではありません。手洗いや洗濯を繰り返すことで自然に臭いが取れるでしょう。
キビヤックの食べ方
世界第4位の衝撃的な食べ物、キビヤックはどのようにして食べるのでしょうか。キビヤックの気になる食べ方についてご紹介していきます。キビヤックを食べてみたい人、キビヤックについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
アパリアスの羽をむしり肛門からすすって食べる
キビヤックを食べるには、まずアパリアスを食べられる状態にしなければいけません。まず、アパリアスの尻尾の羽を除去します。次に総排出口と呼ばれる場所に口をつけ、出てくる汁をすすります。このとき、汁が飛び散らないように注意しましょう。
すするときに出てくる汁は、アパリアスの内臓が液状になったものです。アパリアスの汁をすすったあとは、アパリアスの皮を剥ぎながら肉も食べます。これがキビヤックの食べ方です。アパリアスの肉は濃厚で、旨みがたっぷり詰まっています。
キビヤックは、総排出口から内臓をすする食べ方が一般的ですが、ほかにも内臓を調味料として使う食べ方もあります。取り出した内臓を焼いた肉につける食べ方も地元民から好評です。
アパリアスもキビヤックも、特別な日の料理です。ホリデーシーズンの料理や結婚式、バースデーや成人式、旅人を歓迎する際の料理などで食べられます。伝統的な行事の際に振る舞われることもあるようです。
歯で頭蓋骨を割り中身も食べる
アパリアスは、肉はもちろん脳みそを食べることもできます。アパリアスは小型の海鳥なため、頭蓋骨も簡単に割れます。頭周りの肉を食べたら、歯で頭蓋骨を割り、中身をすする食べ方が一般的です。
茹でただけのアパリアスの脳みそは、ほんのり甘みがあって美味しいものです。熟成されたキビヤックも、独特の風味はあるものの、アパリアスの甘みが残っています。キビヤックをいただく際は、脳みそまでいただく食べ方を試しましょう。
骨の部分もガムのように食べる
アパリアスの骨は柔らかく、キビヤックとして熟成させられ旨みがたっぷりと詰まっています。すべての肉やエキスをいただいたあとは、骨をガムのようにして食べます。この食べ方のおかげで、噛めば噛むほど旨みを楽しめます。
保存に使ったアザラシは食べない
さまざまな食べ方のあるキビヤックですが、発酵させる際に使用したアザラシは食べないのが一般的です。アザラシはあくまでも保存のために使います。
下処理の際に取り除いた肉や内臓は食べることはあっても、発酵後のアザラシを食べることはありません。発酵にアザラシを使うことで皮下脂肪がアパリアスに染み込み、美味しさを倍増させます。
キビヤックはどんな味?
さまざまな食べ方、楽しみ方があるキビヤックはどのような味なのでしょうか。世界第4位の衝撃的な臭さを放つキビヤックの味についてご紹介します。キビヤックについてもっと知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
冒険家の植村直己の好物
植村直己さんは、兵庫県出身の冒険家であり、日本の登山家でもある方です。1984年には国民栄誉賞を受賞しました。植村直己さんは、世界で初めての五大陸登頂者です。竹の棒などを使い、さまざまな山を登ってきました。
植村直己さんは、日本人で初めてエベレスト登頂を成功させた人です。ほかにも、たったひとり、犬ぞりで北極圏に到達したという偉業を成し遂げています。そして彼の最大の功績のひとつでもある冬のマッキンリー登頂は、彼の最後の功績にもなりました。
日本が誇る素晴らしい冒険家の植村直己さんも、キビヤックを食べたことがあると残しています。さすがの彼も、その衝撃的な作り方や食べ方を聞き食べることを躊躇したようです。しかし食べたあとはすぐに大好物になりました。
実際にキビヤックを口にした彼いわく、キビヤックの味は「濃厚な鶏肉」のようです。アザラシの皮下脂肪に包まれながら長期間熟成されたキビヤックは、アパリアスのうまみを最高に引出します。エスキモーの食生活の中では最高のもの、ともいわれています。
強烈な臭さに慣れてしまえば、あとは濃厚な鶏肉として食べられます。世界的な冒険家の植村直己さんも大好物で、キビヤックを思い出しては食べたそうな表情を浮かべていたようです。
チーズやヨーグルトのような濃厚さ
キビヤックの味はとても濃厚で、その濃厚さは同じ発酵食品であるチーズやヨーグルトにも例えられます。特にチーズは独特の臭みがありますが、その臭みこそがクセになる一因でもあります。
納豆やぬか漬け、塩辛や甘酒、鰹節と古くから発酵食品に馴染み深い日本人は、キビヤックの臭さにも慣れやすいかもしれません。日本ではあまり見かけない食品なので、チャレンジする機会があればぜひ現地の食べ方に習って挑戦してみましょう。
塩辛や海苔のような磯の味
キビヤックの味は、塩辛や海苔のような味と例えられることもあります。納豆と塩辛をたして、2で割ったような味といわれることもあります。アパリアスが海鳥なので、そういった味になるのも納得です。
キビヤックは何かで味付けをするわけではなく、アパリアス本来の旨みと、アザラシの皮下脂肪によって熟成された味を楽しむ料理です。海を行き来していたアパリアスと、アザラシの皮下脂肪が合わさると、磯の味がする濃厚な鶏肉になります。
キビヤックは購入できるの?
独特だけどハマれば美味しいキビヤックは、聞けば聞くほど試してみたくなります。日本のスーパーはもちろん、輸入店や雑貨店でも見かけることがないキビヤックは購入することができるのでしょうか。キビヤックの購入情報をまとめました。
キビヤックを試してみたい方、キビヤックの味が気になる方、キビヤックを購入したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
日本では取扱店舗はない
残念なことに、現在日本ではキビヤックを購入できるお店はありません。スーパーはもちろん、輸入店や雑貨店でも仕入れていないようです。臭い食べ物ランキング1位のシュールストレミングのように缶詰に入っていればいいですが、キビヤックはそういうわけにもいきません。
ネット上には、キビヤックを試してみたい人や購入したい人が多数いました。しかし、独特な作り方をするキビヤックを日本に輸入するにはなかなか難しいところがあります。中には輸入が禁止されているから購入できないのでは、という声もありました。
漫画「もやしもん」で登場したこともあるキビヤックは、通販でも取り扱いがなく購入できません。キビヤックで検索しても、キビヤックステッカーや、キビヤックらしきものがあるだけで、本物は扱っておらず購入はできないようです。
日本の多国籍料理屋やレストランなどで提供されていないかも調べましたが、キビヤックの取り扱いはなく購入も難しいようです。輸入することはおろか、アザラシと大量のアパリアスを使用して作るキビヤックは日本では再現が難しくもあります。
現地に行って食べよう
キビヤックを購入したいと考えている人は、現地にいって食べるしかありません。アラスカ州にいるエスキモー民族や、カナダにいるイヌイット民族、グリーンランドにいるカラーリット民族の元へ行って食べさせてもらいましょう。
食べさせてもらうとはいっても、キビヤックは現地でも特別な食べ物です。結婚式や成人式、バースデーやホリデーシーズンに食べるもので、日常的に食べる料理ではないことを覚えておきましょう。
グリーンランドやカナダには提供している店も
どうしてもキビヤックを試したい、購入したいという方は、グリーンランドやカナダのレストランを訪れてみるのもいいでしょう。カナダにはイヌイット民族がいることから、近所のレストランで提供している可能性があります。
グリーンランドにもカラーリット民族がいるので、レストランで食べられる可能性があります。実際にレストランで食べたことがある人によれば、レストランで注文するとお皿の上にアパリアスが乗って出てきたという話もあります。
アパリアスがそのまま出てくるので、羽をむしり、皮を剥ぎながら食べましょう。ほかにも、伝統的な行事や、その地方で行われる結婚式や成人式などで振る舞われることもあるようです。
美味だけどくさやより臭いキビヤック!
衝撃的な作り方と激臭を放つキビヤックは、世界第4位の臭い食べ物です。しかし、その匂いに慣れてしまえば味は美味しく、キビヤックが大好物になる人もいます。日本での購入はできないため、キビヤックを食べる機会があった際にはぜひチャレンジしてみましょう。