迫力満点のシャチを水族館で見よう！見られる場所やその生態は？

シャチはイルカやクジラと似たような見た目をしていますが、どれも同じ海棲哺乳類に分類されています。イルカに比べると体も大きく強面ですが、人懐っこい性格で愛らしい存在です。水族館ではシャチの迫力あるパフォーマンスをみることができ、子供から大人まで人気があります。

シャチは、日本近辺では北海道先端の根室海峡や知床半島近海、和歌山県近海などの海に分布しています。知床半島では野生のシャチを観測することもできます。

シャチは世界各地に分布しています。広範囲を回遊するトランジェント、狭い範囲内で暮らすレジデントなど世界には10種類のシャチがおり、哺乳類のなかで人間に次いで広範囲に生息しているといわれています。

海の王者と呼ばれるシャチは、高い狩猟能力と知能を持ち合わせていることで有名です。シャチの具体的な特徴と生態についてご紹介します。

シャチは海洋生物における食物連鎖のトップに君臨しています。同じく海洋生物の食物連鎖のトップといえばサメも有名ですが、中でも気性が荒いホオジロサメをシャチが捕食することがあります。まさに海の王者です。

シャチにとって、人間も天敵ではありません。シャチの肉には水銀が含まれており、肉質も筋肉質で固いため、人間が捕食して食べることはないからです。

シャチは全長7～8メートル、体重は5～8トンとかなり巨体です。通常、生物は体が大きくなると動きが鈍くなる傾向にあります。しかしシャチは時速60～70キロメートルのスピードで泳ぐことができます。

シャチの最高速度は時速80キロメートルを超えると言われており、海洋の哺乳類中最速のスピードです。ホオジロザメの最高速度が時速30キロメートルのため、比較すると倍以上速いことがわかります。

シャチは自身のスピードを活かし高くジャンプすることも得意であり、その高さは水面から4メートル超に達します。その巨体からは想像できないほどのジャンプ力です。

シャチは、数頭から数十頭ほどのポッドという「群れ」を作って生活するという生態を持っています。いくつもの家族が集まり100頭以上の群れとなる「スーパーポッド」という行動も知られており、社会的な生活を営みながら生活します。

他の海洋生物がシャチの子供を襲おうとしてもポッドがしっかりガードしているため、サメでも手出しできません。集団で狩りをし、集団で種を守るという生態が確認されています。

シャチにとってポッドによる社会的な生活は重要です。自然界のシャチのメスは50年～60年ほど生きますが、人間の飼育下になると20年～30年ほどしか生きることができません。これは飼育下の単独生活がストレスに繋がっているためだと言われています。

シャチは非常に知能が高く、イルカと同じように仲間内で会話ができることで有名です。それだけではなく、シャチが生息している場所ごとに「方言」が存在しており、方言の違いで身内を判断して、配偶者を探すときは近親交配を避けるために異なる方言を持つ相手を選びます。

知能の高さは狩猟の時にも発揮されます。第一集団が疲弊したら第二集団、その次は第三集団と隊列を組みかえて狩猟をし、魚の群れを狩る際は集団で囲い込み、集団でコミュニケーションをとりながら連携して様々なパターンの狩猟法を編み出しています。

また、違う群れの集団からはぐれてしまったシャチに獲物を分け、面倒を見ることも確認されています。

シャチの子供が死んでしまった時には、母親のシャチが死んでしまった子供に何日も寄り添っていたこともありました。人間と同様に感情を処理する「紡錘（ぼうすい）細胞」という神経細胞が、シャチの脳にもあるためだといわれています。

水族館のパフォーマンスなどを見るとイルカは賢いというイメージがあります。しかし、シャチのほうがイルカより賢く、物覚えが良いというのが水族館の飼育員による見解です。シャチは非常に知能が高いことがわかります。

鴨川シーワールドは、日本でシャチが見られることで有名な水族館です。シャチ以外にも、イルカ、アシカなど海獣の飼育やパフォーマンスを見ることができます。

鴨川シーワールドでは、シャチのダイナミックなパフォーマンスを見ることができます。シャチの巨体と持ち前のスピードから繰り出されるジャンプは、観覧席の前段～中段まで水しぶきがかかるほどで、迫力も満点です。

飼育員とシャチの息もぴったりで、まるで踊るように飼育員を背中やお腹に乗せて泳ぎます。ここでしか見ることができないシャチのパフォーマンスは必見です。

鴨川シーワールドの人気ショーはシャチだけではありません。バンドウイルカとカマイルカのいきのあったパフォーマンスも有名です。高くて速いジャンプ、スピンジャンプの連続は見るものを魅了します。

また鴨川シーワールドでは、ベルーガのパフォーマンスも有名です。ベルーガは北極海に棲息する真っ白なイルカのような生物です。かわいい声で「海のカナリア」とも呼ばれます。目を隠したまま泳いで障害物を避けたり、様々なパフォーマンスを見ることができます。

鴨川シーワールドの中には、日本で唯一シャチの泳ぐ姿を見ながら食事ができる場所があります。それがレストラン「オーシャン」です。漁港で水揚げされた海産物や地域の農産物を積極的に使用した「房総フード」を頂くことができます。

店内の壁の一部が水槽になっており、そこからシャチを見ることができます。窓際に座ることができれば、かなりの至近距離でシャチを見られます。ぜひ、美味しい料理と優雅に泳ぐシャチの姿を堪能してください。

鴨川シーワールドへのアクセスは車の場合、東京湾アクアラインから房総スカイラインへ出て、県道24号線経由で鴨川シーワールドへ行くことができます。時間はうみほたるPAより約1時間10分ほど到着します。

バスの場合は、東京駅から鴨川シーワールドまで「アクアライン高速バス」が出ており、約2時間で到着します。

また、JRを使う場合には東京駅から特急「わかしお」に乗り、「安房鴨川駅」で下車します。安房鴨川駅から出ている無料送迎バスで、鴨川シーワールドまで行くことができます。所要時間は約2時間です。

名古屋港水族館も日本でシャチが見られる場所として有名です。名古屋港は日本最大の延床面積の水族館であり、来場数としても日本でトップ3に入るほどの大きな水族館です。

名古屋港水族館では水中からシャチを観察することができます。人間よりも何倍も大きな巨体を目の前にみることができて迫力満点です。シャチの水槽に近寄ると、運が良ければサービス精神旺盛なシャチが近寄ってきて、一緒に遊んでくれることもあります。

目玉はシャチの公開トレーニング見られる点です。北館3階のスタジアムにて1回あたり約15分間、飼育員がシャチをトレーニングしている様子を見学できます。

おもちゃを上手にくわえたり、飼育員が解説を交えてトレーニングの様子を見せてくれます。公開トレーニングのスケジュールは時期によって変わるので、その都度、公式HPや館内の案内で確認しましょう。

名古屋港水族館へ車で行く場合は、港明ICから道なりに直進し、築地口・名古屋港方面へ向かうと名古屋港水族館へ出ることができます。名港中央ICから向かう場合、名港中央IC出口を左折し、道なりで築地口方面へ向かいます。築地口交差点を右折して直進です。

電車で行く場合は名古屋駅から名鉄・JR「金山」駅を下車し、地下鉄に乗りかえます。名港線「名古屋港」行きに乗り、終点の「名古屋港」駅で下車すると3番出口から徒歩5分ほどで着くことができます。

シャチは、別名「冥界の魔物」とも呼ばれ危険なイメージもありますが、実際の生態は人間を敵として見ておらず、賢くて人懐っこい性格です。時折飼育員に甘える様子は強面の巨体とのギャップがあり、とても可愛らしいです。

今回は日本に2つだけのシャチが見られる水族館の場所を紹介しました。シャチの生態や魅力を知ると楽しさも倍増です。ぜひ可愛らしいシャチの、ダイナミックなパフォーマンスを見に行きましょう。